2016.04.13 Wednesday

赤枝恒雄議員は以前から問題発言の多い自己責任論者(過去発言まとめ)

この記事の後半に、赤枝議員の過去の問題発言を列挙しています
この記事の末尾に、2017年国会での問題発言を追記しました

 自民党の赤枝恒雄議員(衆院比例東京)が、子どもの貧困対策を推進する議連の会合で、奨学金制度の拡充を求める要請に対して「進学しても女の子はキャバクラに行く」「高校も大学もみんなが援助するのは間違っている」などと発言した件が問題になっています。現在の日本では進学や就職に恵まれるのは高所得家庭の子供ばかり、貧困家庭の子供は進学も就職も困難で、バイトしながら進学するにも平均時給に対して学費や生活費の負担が大きすぎるため、貧困学生がキャバクラなどの稼げそうな業種に流れてバイトと学業の両立に苦しむことが多いのが実態なのに、貧困対策の論点を女性の進学意欲など自己責任論にすりかえて、現実にいますぐ必要な学費援助を否定する赤枝発言は、貧困差別と女性差別と職業差別を含む内容で悪質です。
 ネット上では、文脈がおかしいことを「発言の一部が切り取られているだけ」などと強引に擁護する意見も散見されますが、これは赤枝議員がいつも強引に論点をすり替えるからで、後に公開された発言全文の記事を見ても、話はかみ合ってません。赤枝医師は議員になる前から自己責任論者としてマスコミ取材に答えたり、参考人として議会で青少年厳罰化を主張していた人物で、過去の青少年条例改正案の会議などでも、赤枝参考人は改正内容と無関係な、統計を無視した極端な事例を持ち出し、議論をすりかえる手口を多用していました。これは議員個人の問題だけではなく、青少年規制に都合のいい都市伝説や、統計を無視したデタラメな数字を議会に持ち込む道具として、自己責任論者の赤枝医師が利用されていた感もあります。
 当選後の議会での感染症自己責任論や青少年厳罰化発言も、今回の議連会合での発言も、以前と同じ差別的な自己責任論の延長です。もともと根拠のない差別発言を繰り返していた人物を自民党が公認し、これまでは議会で問題発言をしても放置されてきただけです。
 自民党の赤枝恒雄衆院議員(72)=比例東京=が12日、子どもの貧困対策を推進する超党派による議員連盟の会合で、貧困の背景について「親に言われて仕方なく進学しても女の子はキャバクラに行く」などと述べた。会合では支援団体の代表や児童養護施設出身の大学生が奨学金制度の拡充を求め、それに対する質疑応答の冒頭で発言した。
 要望に対し、赤枝氏は「がっかりした。高校や大学は自分の責任で行くものだ」という趣旨の主張をした。その上で「とりあえず中学を卒業した子どもたちは仕方なく親が行けってんで通信(課程)に行き、やっぱりだめで女の子はキャバクラ行ったりとか」と話し、望まない妊娠をして離婚し、元夫側から養育費を受けられず貧困になると持論を展開。義務教育について「しっかりやれば貧困はありえないと言いたいくらい大事」と強調した。
 赤枝氏は2012年に比例単独で初当選し、現在2期目。産婦人科医で、会合終了後の取材に「街角相談室でいろんな子どもの話を聞いてきた。子どもが十分教育を終えるまでは国が手厚く援助しないといけないが、高校も大学もみんなが援助するのは間違っている」と説明した。
(2016.04.12 朝日新聞)
 12日に開かれた子どもの貧困対策を推進する超党派議員連盟の会合で、赤枝恒雄氏が質疑応答の冒頭に発言した主な内容は以下の通り。

 日の当たらない分野にご支援を頂きありがとうございます。しかし、今日も裏切られた思いでがっかりしています。当然、義務教育が出てくると思ったら、高校や大学の話、これは自立して頑張らないといけないことをそこまで色々言うより、まず義務教育はどうなっているか考えてください。
 今の義務教育でいいんですか。これをもう1回考えてください。中学校の教科書、見たこともちろんあるでしょう。私は中学校の教科書見たら、これがわかっていれば実務社会の、英語もそうですけど、これがわかってれば、絶対社会に通用するんですよ。
 それが中途半端に15歳が来たら高校に行けます、卒業します、できますよ、とんでもないことですよ。世界ではこんな、こういう国もあることはありますが、やはり中学校の卒業試験というのがあるわけです。オランダもそうですよ。スペインもフランスもそうでしょう。卒業試験があるわけですよ。
 日本は卒業試験がないんで、なんで卒業試験ないんだって文科省(文部科学省)に聞いたら、いや、日本でそんなことしたらどんどん義務教育のお金が高くなるからねって言われて、よくわかんないこと言われましたけど、とりあえず中学校卒業した子どもたちはね、中途半端に出てその後に、仕方なく親が行けってんで通信に行ったりしながら、やっぱりだめで女の子はキャバクラ行ったりとかですね、実際望まない妊娠が結局いま中学校、それから40歳以上の、まあ40歳以上は望んでるんですけど、出産増えているのはその世代なんですね。20歳、30歳は全然産みませんから。
 そういうことで望まない妊娠するってのは、できちゃった婚は10代で80%ができちゃった婚なんです。本人の、ある程度計画性のない結婚、80%ですよ。それから離婚する、若くて、離婚したひとり親になる原因は離婚ですから。ほとんどは。その離婚した後のご主人からの仕送りがある人は本当に一部なんですよ。だからそういうことで貧困になっていく。
 ですから中学までの義務教育をしっかりとですね、命がけで我々国がですね、やって、進級させない、落第もあり、卒業試験やるという風にきちんとやればですね、社会で通用するんですよ。そこまで国は責任を持ってやって、後はもう本人が社会ですから。もう。高校行く、それはもう立派に働く人、色んな人いるわけで社会ですから、そこになったらもう後は自立する支援だけですよ。必要なのは。
 本当にそういうところはですね、義務教育をとにかく、これからもう本当に厳しくですね、義務教育をしっかりやれば貧困はありませんと、僕はそこまで言いたいくらいに、義務教育って大事だと思いますので、その辺はいかがでしょうか。
(2016.04.13 朝日新聞)
 この発言には何重にも呆れる。
 奨学金制度を要望した大学生がいた児童養護施設は、建前としては20歳まで居られることになっているが、現実には高校を卒業したら退去しなければならない。高校に進学しなければ、中学卒業と同時に児童養護施設も卒業である。全高卒者の大学進学率が半数を超えているのに対し、大学進学率は低く、児童養護施で高校に通う子で2割程度、児童養護施設児全体では1割強にすぎない。高卒の就職率が16.9パーセントであるのに対し、養護施設にいた子どもの高校就職率は、7割近くである*。
 一般家庭に育つ子どもですら、半数以上が奨学金を利用して大学進学している状況である。児童擁護施設の子どもたちが進学するための費用は、奨学金がなければ、どこから出てくるというのだろうか。かつては国立大学は学費が安く、授業料免除も容易であった。しかし国立大学の学費ですら年間54万円程度であり、将来的には93万円程度になると文部科学省が試算している(国立大授業料、54万円が93万円に 2031年度試算)。国立大学への運営交付金を減らすということは、困窮者の学費の免除もままならなくなるということだ。児童養護施で育つ子どもには、さらに厳しい状況が待ち受けていることは間違いない。
(2016.04.13 千田有紀)

ここからは、過去の赤枝議員の問題発言です
○赤枝委員
 それで、私のところでも、中学生、小学生の、援助交際をして性病を繰り返す女の子がいます。まさに小学生です。小学生でズックを履いてきても、自分の好きなタレントの追っかけをやるためにお金が欲しくて、援助交際をする。それで、病気にかかる。
……
 その辺のところで、エイズ、性感染症、これは自分自身が悪いんだろう、自己責任という考え方は持ち込めないのかなというのを大臣にお聞きしたいと思います。
(2013.03.19 第183回国会 厚生労働委員会)
 小学生援交の都市伝説は赤枝医師が議員になる前から繰り返し話している持ちネタですが、元ネタは患者が夫から聞いた都市伝説だったはずが、次の取材では自分が小学生を診察した話になっていて、信憑性に欠けます。感染症発生動向調査では、15歳未満のクラミジア感染はごく少数で、増加傾向はありません。
 日本でも海外でも夫婦間で性病が感染する割合は高く、過剰な自己責任論は性感染症への偏見を煽るだけ。自己負担が高額だと検査や適切な治療を受けない人が増え、感染拡大を招くので、感染症対策には国による検査・治療の援助が必要。
 海外ではジェネリック薬の導入によりHIV治療費は「1人当たり年間100米ドル」に低下しています。もし本当に将来的なHIV治療費を問題視するなら、安価なジェネリック薬の導入が求められるはずですが、赤枝議員は高額な治療費を据え置いたまま患者の全額自己負担にさせる保険適用除外を要望しています。
○赤枝委員
ワクチンについて父兄の負担を、本当に五百円でも僕はいいと思うんです、千円でもいいと思うんです、将来考えていないですか。場所によっては、何か地方の自治体が補填をして、その補填の額によって無料のところとちょっと有料のところがあるみたいですけれども、つまり、無料で提供するというのはやめて、必ず負担を、父兄の負担を千円でもつけるということは考えられませんか。
(2014.04.04 第186回国会 厚生労働委員会)
 不定期な街角エイズ検査で知られていた赤枝議員ですが、感染症の予防や治療の費用は患者に自己責任で負担させろという貧困層切り捨て政策が持論。性教育の重要性に言及しながら性教育の後退につながる青少年条例厳罰化を推進するなど、行動に矛盾が多い。
 子宮頸がんワクチン有料化論は純潔教育を推進する統一教会関連団体の主張と同じ。
○赤枝委員
 私は、昔、石原都知事がいるときに、呼ばれたときに、一緒に、中学生のセックス禁止令、それから漫画本の禁止というのをやっていたわけですが、そのころから、法整備ができないものかと思って、ここに、資料二ページ目、性の自己決定権、この性の自己決定権は、別の表現をすると、性的同意年齢とも言われるわけです。
 これは、見ていただければ、日本は十三歳になっているわけです。つまり、十三歳まではセックスしちゃいけないよ、同意の上でもいけないよ、それはレイプだよということです、これは刑法ですから。
(2014.04.03 第186回国会 青少年問題に関する特別委員会 第3号)
 赤枝議員の主張している性的同意年齢引き上げ論は、高校生同士の恋愛でキスしただけでも通報されると強制わいせつ罪になる厳罰化案。恋愛を犯罪扱いされて苦しむ学生が増え、性教育の縮小にもつながる愚策。

ここからは、赤枝医師が議員になる前の問題発言です
○参考人(赤枝恒雄君)
 今の日本の状況の中でピルを使うことは私は絶対的に反対で、まず、結婚するまではコンドームしかないと。
(2005.05.11 第162回国会 少子高齢社会に関する調査会)
 これは2002年に中学生向け性教育小冊子を回収させて以降の性教育を後退させた、「具体的な性教育は結婚してから」という主張の山谷えり子議員による統一教会の純潔教育論を擁護するため、2005年の国会で参考人として発言した赤枝医師のピル否定論。赤枝医師は表面上は性感染症教育の重要性には言及しているが、避妊薬の存在すら教えない方向の山谷議員による性教育縮小論に同調する文脈の発言。
〇山口委員 大変貴重なお時間を、お越しをいただきまして、ありがとうございます。
 赤枝先生に幾つか教えていただきたい、お伺いしたいことがございます。
 まず、今、先生から現状のお話を聞いていて大変驚いたことが多々あるわけでありますが、私の知り得る限りでは、例えば厚生労働省の定点観測、定点報告によりますと、性感染症等というのはふえていないというように、その報告の中では読んでとれるわけでありますが、その実態というものはいかがなものなんでしょうか。先生に伺いたいと思います。
〇赤枝参考人 厚生労働省が、決まった病院に、毎月性感染症の報告をしろということをやっている。これはインフルエンザもみんなすべてそうですね。感染症は定点観測というのをやるわけです。
 ところがインフルエンザと違って、この産婦人科領域に関しては、子どもが親から保険証を借りられないという問題があるわけですね。それからお金がないという問題がありますね。こういうところで、定点観測になっているきちんとした病院に、子どもたちがやっぱり行けないという問題があるんですね。
 だから、我々がまち角で無料でやった調査によると、こういうことになっている。
 それから厚生労働省の研究班が、この一番最後のページのように、無料であなた方のおしっこを調べてあげるよ、おしっこを出しなさいという無料の検診とかでやると、きちんとした数字は出るんだけれども、定点観測では、確かに委員おっしゃるように、本当に余りふえていないんですね。横ばいか、疾患によっては減っているようなものもあるぐらいなので、だから性感染症に関しては、定点報告で議論するというのは余り意味がないような気がします。
(2010.05.18 東京都議会総務委員会)
 定点観測になっている港区内の拠点病院では誰でも匿名・無料で性病検査が受けられる制度が長く続いてるので、赤枝医師が行った調査より受検者数が多く、極端な結果にはなりません。また赤枝医師はテレビ出演時も、不定期にやっていた街角検査だけを紹介させて誇張した数字を示し、港区で普及している無料性病検査事業のことは説明しませんが、受検者数の多い厚労省の統計より、同じ港区内で不定期にしかやってなかった街角検査のほうが信頼できるという説には無理があります。
クラミジアは薬で治療します。従来の薬は1日2〜3回2週間忘れずに飲み続けなければなりません。
それが今年5月、4粒を1回飲むだけで完治する画期的な薬が認可され、医師の間で波紋を広げています。
「性感染症が手軽に治ると思われたくないので新薬を使いたくない」 (赤枝医師)
一方、飲み忘れによる再発を防げると積極的に新薬を勧める医師もいます。地域医療振興協会ヘルスプロモーションセンターの岩室紳也医師は「きちっと医者が啓発的な教育まですれば、薬の飲み方が変わっても心配はないと思います」と話します。
当の感染者たちは圧倒的に新薬を支持しています。
(2004.07.22 TBS News i 2ch.net)
 テレビ番組制作側は「従来の薬」メーカーに配慮して両論併記コメントを入れたかったのかもしれないが、クラミジアは自覚症状の軽い感染者の割合が多く、うっかり投薬中断した感染者から感染拡大する問題があるので、赤枝医師の自己責任論は不適切。治療終了前に投薬中断した感染者が原因で薬剤耐性菌が広まり、治りにくい感染者が増える問題もあった。
赤枝恒雄医師「お年寄りも75歳以上は後期高齢制度で切られましたけども、性病も必ず国は切ってきます。もう医療費がこれだけかかってくると、自己責任でしょうと、切り捨てになりますよ。はい、切ります。はい。」
(2009.05.25 テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」 赤枝恒雄)
→ TVタックルで性感染症自己責任論
 赤枝恒雄医師は議員になる前から、性感染症を保険適用除外して全額自己負担化する自己責任論が持論で、収入の少ない患者への配慮がない。「治療に来ない患者」を問題にしながら、そういう患者が増える制度を求めているマッチポンプ型の人物。
 それなりの評価を得て五年くらいたったころ、若いカップルが「水中出産したい」とやってきた。私は初めてのことで驚いた。が、患者さんのニーズを第一にしていたので積極的に取り組んだ。
……
 一方、水中出産では、部屋を暗くして波の音をBGMにして、できるだけ機械音を出さない。もちろん、においの強い消毒剤は使わない。狭い産道の中から一気に空中に出るよりは、水中を通ることで自然な減圧効果が得られる。
(2006.05.18 赤枝恒雄 産経新聞)
 水中出産は感染症の危険性が高い。性感染症の感染拡大を過大視する赤枝医師が、出産時の感染症を軽視するのはおかしい。
 産経新聞「子守唄」連載は、赤枝恒雄が理事を務めていた「日本子守唄協会」のタイアップ記事。統一教会の純潔教育を推進する山谷えり子が関連議員連盟の幹事長を務める日本子守唄協会は、統一教会の純潔教育を推進する親学推進協会理事長高橋史朗による親学布教イベントも主催していたカルト団体。

ここからは、赤枝医師の著書のデマ問題と、赤枝医師のデマを引用した他の議員の問題発言です
内容(「BOOK」データベースより)
死を目前にした少女が、心の拠り所の「先生」に宛てた一通の遺書。胸がヒリヒリする、儚く、せつない19年の生涯。初めて本気で人を好きになったとき、自分がエイズ感染していると知った―。援交、親との確執、中絶、エイズ…東京・六本木で開業する医師が見た、少女たちの壮絶な性の実態。
Amazon 赤枝恒雄「悲しいセックス : エイズで逝ったマヤに捧げる」
 赤枝議員の著書『悲しいセックス』は、20歳の誕生日を前にエイズで亡くなった少女からの手紙という設定の本で、実話だと宣伝されていますが、あとがきには、他人から聞いた噂話を1人の少女の話として再構成したものと記載されています(※日本の統計では、10代で死亡した女性HIV感染者・エイズ患者は実在しません)。治療費も保険証や医療費助成制度を利用しないで全額自己負担する(赤枝医師の持論を説明するための)設定で、別の著書では同じ女性が22歳で死んでいるなど話に一貫性がなく、読者に恐怖心や偏見を植え付けるための悪質な作り話としか思えません。
〇三十九番(中嶋義雄君) 知事は、今定例会の所信表明におきまして、エイズ問題に触れられました。
 かつて清水幾太郎氏は、古来からの天譴思想を紹介し、日本人にとって地震は世の混乱を正す天の譴責であったと書いたことがございます。それに倣っていえば、エイズこそまさに天譴であるのかもしれません。
 それはともかく、近年、エイズへの関心が低下しておりますが、知事が指摘するとおり、事態は深刻でございます。献血からエイズ感染が発見される割合は依然として高く、また、先進国の中でエイズ感染者の増加率が上昇している国は日本のみでございます。
 こうした指摘を通して、長年、エイズ問題の深刻さを訴え、ボランティアで無料相談やエイズ検査を行ってきたのが、赤枝六本木診療所の赤枝恒雄医師でございます。マスコミ等でも紹介され、ご存じの方も多いかもしれませんが、昨年、公明党の女性局が同医師を訪問し、私も二十一日の日曜日に訪ねてまいりました。赤枝医師から聞かされたエイズ問題の実態には、身の毛のよだつ思いがいたします。
 同医師によりますと、二十五歳以上のエイズ感染者はほとんどが男性であるのに対し、二十歳から二十四歳までは約六〇%が女性であり、十代ではそれが約七〇%に上るといいます。しかも、十代の女性の感染者の多くは中学生や高校生であり、いわゆる援助交際という名の売春行為でエイズに感染し、親に相談するわけにもいかず、したがって公的な助成等は一切受けられません。
(2003 東京都議会第3回定例会会議録)
 実際には、10代の日本人女性HIV感染者は数年に1人、10代の日本人女性エイズ患者は過去25年間で1人しかいない。つまり日本人の若い世代だけ女性感染者の割合が多い説はまったく根拠がない悪質なデマだが、赤枝医師は著書などで繰り返し同じデマを流布している。
 現実の東京都の実態を示す福祉保健局の資料とかけ離れた赤枝医師の言葉を引用して「エイズは天罰」という趣旨の差別発言につなげた中嶋都議を処分せず議員団長にしている公明党も悪質。

……
▼【2017年国会での問題発言を追記】
赤枝分科員
 それから「コドモのコドモ」という、これは小学生同士が、くっつけっこというのがはやった時期があるんですよ。くっつけっこをやったときに、やはりできちゃった。
 今言ったとおり、日本では合法ですよ、十四歳のセックスは。ところが、外国、八十九カ国は、十四歳の性行為はレイプ事件ですよ。ましてや小学生は。しかし、日本ではそれは認められていて、こういうメディアの番組の悪いのは、そういう、子供たちが性行為をして、結末はみんなハッピーエンドです。最初は親は反対していた、ずっと。おろしなさい。病院まで行った。だけれども、子供は逃げて帰ってきて、嫌だ、産みたい。親も反対していたけれども、産んだ。その後は、おじいちゃんもおばあちゃんも子供を愛してくれて、ハッピーエンド。
 僕は、こういう余り好ましくない行為自体がハッピーエンドで終わっているというのは、子供たちに対する影響も余りよくない。
……
 例えば、児童福祉法違反とかで刑がありますよと言われても、我々がやはり怖いのは、一般の我々パンピーにとってみたら、刑法なんですよ、刑法。
……
 レイプは、どうしてもやはり刑は十年以上は、二十年以上ぐらいの刑にしてもらって、絶対だめな行為だというふうにしてもらわないと、三年とか五年じゃまずいんじゃないんですか。そのところはぜひお願いをしたい。
(2017.02.22 第193回国会 予算委員会第三分科会)
 怖がらせる話しか認めない禁欲教育論者の赤枝議員が糾弾している漫画原作の実写映画「コドモのコドモ」は性表現のない性教育的な内容。刑法では犯罪全般の責任年齢が14歳と定められているので、性的同意年齢を引き上げると年齢の矛盾が生じ、同年代男女の同意による学生恋愛が、第三者の通報で強姦罪や強制わいせつ罪になってしまう。だから日本では成人による18歳未満に対する性行為のみを児童福祉法や青少年条例などで処罰する法制度になっていて、海外でも青少年の人権に配慮して同年代の青少年同士の恋愛は処罰しない法制度が一般的。赤枝議員の発言は嘘だらけで、しかも青少年同士の恋愛の強姦罪化と強姦罪全般の厳罰化を同時に提案していて青少年の人権への配慮がなく、宗教原理主義的で悪質。
……


・関連
→ 国連女性差別撤廃委員会による性的同意年齢・結婚可能年齢引き上げ論の問題点
→ ポーランドの「乱交ゲーム」というデマと日本の青少年厳罰論に共通する悪意
→ 赤枝医師の発言の信憑性
→ TVタックルで性感染症自己責任論

2009.07.31 Friday

赤枝医師の発言の信憑性

今年5月にTVタックルに出演した際に小学生援交の都市伝説をスタジオで語っていた赤枝医師が、7月はJ-CASTニュースの取材でも小学生援交について語っていたが、前回の話とはかなり内容が異なっているようだ。
赤枝医師
赤枝恒雄医師「〔診療所に〕来てるお母さんがクラミジアになった。で、ご主人に言ったの『あなた浮気したでしょ』と。で、してないって言ってたんだけど、つきとめたら、それが、〔自称〕小学生と援交してたの。小学生からクラミジアうつされたの。」
(2009.05.25 テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル 赤枝恒雄)
・関連→ TVタックルで性感染症自己責任論
 赤枝さんが院長をしている赤枝六本木診療所。夏休みなどが明けた後は、外来の3割ほどが10代の患者になる。
「小学校5年ぐらいで援助交際していた女の子がいたんですよ。タレントの追っかけをしていましたが、いつもパンツが汚れていて、クラミジアなどの性行為感染症を繰り返していました」
 この少女が来院するたび、赤枝さんは、「もうセックスは止めろ」と忠告した。しかし、少女は、その数を減らしたものの、懲りずに繰り返した。その後しばらく、赤枝さんは、少女の姿を見ていない。
(2009.07.04 J-CASTニュース)
TVタックル出演時の赤枝医師の話では、小学生援交は患者が夫から聞いた話だった。赤枝医師が援交少女を直接診察したわけではないので、援交少女が本当に小学生だった可能性は低い。もしJ-CASTニュースで語っている内容が事実なら、赤枝医師はTVタックル出演時にこんなあいまいな噂話はしなかっただろう。赤枝医師はデタラメな噂話をつなぎあわせて自分のことのように語っているだけではないのか。
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【※追記】感染症発生動向調査によれば15歳未満のクラミジア感染は過去8年間でごくわずかしか報告されていない。
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性感染症の危険性についてコメントしてくれる医師が便利なのはわかるが、赤枝医師は自分自身の宗教的主張だけが重要で、患者たちの安全を考えてないように見える発言が多い。
クラミジアは薬で治療します。従来の薬は1日2〜3回2週間忘れずに飲み続けなければなりません。
それが今年5月、4粒を1回飲むだけで完治する画期的な薬が認可され、医師の間で波紋を広げています。
「性感染症が手軽に治ると思われたくないので新薬を使いたくない」 (赤枝医師)
一方、飲み忘れによる再発を防げると積極的に新薬を勧める医師もいます。地域医療振興協会ヘルスプロモーションセンターの岩室紳也医師は「きちっと医者が啓発的な教育まですれば、薬の飲み方が変わっても心配はないと思います」と話します。
当の感染者たちは圧倒的に新薬を支持しています。
(2004.07.22 TBS News i 2ch.net)
クラミジアはもともと自覚症状の軽い感染者や無症候感染の割合が多い。従来の治療法では薬を飲んで自覚症状がなくなっても再検査で完治を確認されるまでは薬を飲み続ける必要があり、投薬中断した感染者からの感染拡大なども問題だった。1回飲むだけで効果が持続する新薬が普及すればクラミジア感染数の減少も期待できるだろう。当時の赤枝医師の発言は「再発してくれたほうが儲かるんだけどね」という意味の冗談だと思いたい。

・関連
→ TVタックルで性感染症自己責任論
→ 青少年のセックスは法律で禁止しても減らない
→ ポーランドの「乱交ゲーム」というデマと日本の青少年厳罰論に共通する悪意

2009.05.30 Saturday

TVタックルで性感染症自己責任論

テレビ朝日で2009年5月25日に放送された番組「ビートたけしのTVタックル 急げ!医療の“水際対策”タックル危機管理SP」がひどい。(→動画)
この日の番組の主な内容は新型インフルエンザ対策と介護問題だったが、番組後半はなぜか10代の性病・性教育の話題。討論前のVTRは「10代の子供たちに広がる性感染症」というテロップで現代の10代だけが異常という演出だったが、実際には一般的な性感染症患者は20代が中心で10代より30代や40代のほうが多く、近年は10代の感染者数は減少している。VTR中に出ていた「性交経験のある男子高校生の6.7%、女子高校生の13.1%が(無症候の)クラミジア陽性」という統計は、成人の最近性交した男女でも同程度の陽性率になる話なので、他の年齢層と比較せずに高校生の性交経験のある集団の無症候感染だけに限定した数字を出すのはおかしい。VTR中の「15歳〜24歳のHIV感染が増えている」という話も、検査率の高い10代の感染報告は少数なのに検査率の低い40歳以上の感染報告が急増していることを問題にするべきだ。
未婚妊婦における年齢別Chlamydia trachomatis検出率(1995〜1997年)
未婚妊婦における年齢別クラミジア検出率
(1998 STD症例におけるHIV及びSTD関連抗体に関する血清疫学的調査)
街の高校生に性体験や性病に関する噂話を取材し、視聴者が噂話を事実と誤認するように全面モザイク加工されたVTRでは、エイズと他の病気の区別ができてないような女子高校生が「友達がエイズ」と言っていた。しかし感染症法によってHIV感染者・エイズ患者は全数報告が義務づけられていて日本全体でも10代女性は年平均1人以下なので、たまたま取材した女子高校生の友達がエイズなんて話はただの都市伝説で、このVTRの演出は誤解を招く。
VTRでは続けて宗教関連団体の理事をしていた山谷えり子議員の2005年3月の国会質問の映像から、自民党の「過激な性教育」捏造アンケート七生養護学校の知的障害者に対する性教育をいまさら話題に取り上げ、世界日報にも取材された林愼吾医師にインタビューするなど「現在の性教育はやりすぎ」という宗教的意見だけを編集していた。まるで宗教番組だ。

VTR内では「中学になるまでセックスは教えないでいい」という意味の話をしていた赤枝恒雄医師が、VTR後のスタジオに登場し、真偽不明の伝聞ネタをもとに性教育批判やセックス厳罰化や性感染症自己責任論を主張した。
赤枝恒雄医師「〔クラミジアは〕小学校でもいまあるわけですから〔※真偽不明〕。」「〔病院に〕来てるお母さんがクラミジアになった。で、ご主人に言ったの『あなた浮気したでしょ』と。で、してないって言ってたんだけど、つきとめたら、それが、〔自称〕小学生と援交してたの。小学生からクラミジアうつされたの〔※真偽不明〕。小学校はそういうふうに援交やってる子と、何も知らない子の差が大きすぎるんですよ。ですから性教育をやって、何でもセックスそのものを教えりゃいいんじゃなくて〔※学習指導要領では具体的な性行為の方法は扱ってない〕、やっぱりひとりひとりの目を見てですね、どういう程度なのかを見て決めていかないと。」
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「いちばんの問題はね、法的整備ができてないんですよ。ようするに世界89カ国ほとんどの国ではですね、16歳以下はセックスしちゃいけないんですよ〔※年齢差が少ない場合には例外処置もある〕。日本おかしいよ、〔刑法の性交同意年齢が〕13歳になってるんですから〔※児童福祉法や児童買春禁止法や青少年条例などの制限があるので、現実には日本の法整備がゆるいわけではない〕。」
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「エイズっていうのは毎月25万円かかるんですよってこと〔※ガセネタ〕。一生25万円治療費がかかりますよってそれはみんな知ってなきゃいけないですよ。それと、お年寄りも75歳以上は後期高齢制度で切られましたけども、性病も必ず国は切ってきます〔※憲法違反〕。もう医療費がこれだけかかってくると、自己責任でしょうと〔※偏見〕、切り捨てになりますよ。はい、切ります。はい。」
(2009.05.25 テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル 赤枝恒雄)
雑誌のインタビュー等でも真偽不明の噂話を語ることが多い赤枝医師は、この番組でも刑法の性交同意年齢の引き上げを主張したり、エイズの治療コストをネタにするなど、怖い話をして脅かせばいいんだというレベルの発言が多いが、偏見や誤解を招く言い方で説明不足。
現在の日本ではHIV感染者の治療費自己負担額は所得に応じて上限が決まっていて、平均的な所得の人は月1万円以下で治療が受けられる。
国の負担を含めた治療費総額でも通常のHIV治療コストはせいぜい月15万円程度といわれており、赤枝医師の想定している金額はおそらくエイズが重症化した患者の最も多く費用がかかる事例なのだろうが、重症患者でも治療が成功すれば医療費は通常の感染者と同程度で一生高額なわけではない。
コストを問題にするなら、検査を普及させて発症前にHIV感染を早期発見したほうが治療を含めたエイズ対策コストを削減できるのは常識。ところが日本では自治体のエイズ対策予算が10年前の3分の1に減り無料HIV検査日程が少なく、エイズ発症まで気付かないHIV感染者の割合が減らない。
新規エイズ患者の割合が多いことは日本よりHIV感染者が増加してる海外先進国と比較しても異常で、自己責任ではなく政策的な失敗。
たとえば島根県の保健所では1日7人・月2回しかHIV検査できないので県全体で年500人しか保健所でHIV検査してない。
エイズ即日検査・相談について
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*受付時間:9:00〜11:00 予約制(20分刻みで予約を入れ、HIV・HCVともに7人を限度とする)
(島根県 : エイズに関する情報)
性感染症が自己責任で天罰だというのはカルト宗教によくある偏見で、実際には日本でも海外でも夫婦間で性病が感染する割合は高く、すべてが自己責任とはいいきれない。過剰な自己責任論は性病に対する偏見を煽るだけで、実際に性病に感染した患者を混乱させ、感染を信じないで医療を拒絶し宗教に走る患者を生み出す原因にもなりかねない。
エイズ対策のため検査・治療を国が援助するのは当然で、日本よりはるかに人口あたりのHIV感染者が多い自己責任の国アメリカでもHIV感染者にはエイズ治療薬補助制度があり、年収の少ない患者の治療費は無料だ。自己負担が高額だと検査や適切な治療を受けない人が増えるだけで、よけいに感染拡大を招くことは海外でも指摘されていて、HIV治療予算の問題を解決するためコピー薬を製造している国もある。性感染症を自己責任というなら予防教育を徹底するべきで、予防教育の妨げになっても青少年のセックスは例外なく処罰するべきという赤枝医師の持論はやはり矛盾している。
青少年を保護する立場から「中学生までは性交をすべきでない」という大人の思いが伝わるよう、条例等に〔中学生のセックスを禁止する〕規定をするべきという意見が〔赤枝医師など〕多数の委員からあった。これに対して条例等による規制を行うことについては、〔妊娠などの問題を周囲に相談できなくなり〕逆効果であるという〔池上千寿子などの〕意見や、あるいは、一定の理解を示しつつも規定の方法によっては「禁止事項故に子どもたちに対する性教育が後退する」ということも懸念され、慎重な対応が必要であるという〔岩室紳也医師などの〕意見があった。
(2004 東京都「青少年の性行動について考える委員会」意見のまとめ)
〔※翌年から「東京都青少年の健全な育成に関する条例」に淫行処罰規定が加えられた〕
これ〔1985年の最高裁判例〕を重く受け止めて、多くの県の県条例では、
「何人も、青少年に対して、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。」
みたいな曖昧な規定の仕方をやめて、金品供与や周旋のあった場合や、脅しや欺罔のあった場合や、単に性欲のはけ口としてだけの目的でセックスする場合などに限定しています。
 なお、実はこのような限定を加えることで、刑法177条の強姦罪の規定との調和を図っています。条例は法律の範囲内でしか定められない(憲法94条)からです。刑法177条では、13歳以上の女子とのセックスは、暴行又は脅迫によらなければ、刑事罰の対象にならないように規定してあります。条例が17歳女子とのセックスを禁止することになると、この法律に反するのではないかという疑いが生じます。この疑いを乗り越えるために、法律と矛盾しないのだよという体裁を整える目的で、上記判例法理と現行の多くの県条例の規定の仕方があるということです。
 ややこしい話になりましたが、このように、「20歳男と17歳女がセックスしたら、男はタイーホ!」と、ただちになるわけでは、ないわけです。
(2009.05.13 インターネット大好き小池さんのブログ)
つまり赤枝医師が刑法の性交同意年齢の引き上げを求めるのは抑止効果ではなく厳罰化が目的で、青少年保護という大義名分とはだいぶ話が違う。

実は現在62歳のビートたけしにも中学生のときに性病になった経験があるのだが、もし番組の収録中にビートたけしが自分自身の話をしても放送されなかっただろうと思われるほど、スタジオの討論の大半は、性教育廃止を叫ぶ三宅久之の若者叩きVS田嶋陽子・家田荘子の女性保護という役柄に単純化されていた。赤枝医師がおおげさなネタ話をしてもスタジオの討論はふりだしに戻され、赤枝医師がまた持論を語るためにさらにおおげさに話を広げるという悪循環だったことが、番組での赤枝医師の発言が不正確な内容ばかりになっていた原因のひとつかもしれない。
──あと病気と言えば、たけしさんには初体験で性病になったという逸話がありましたね。
「うん。あのね。中学生の時にみんなにやらせる女っていうのがいてね。ひどい目にあっちゃった。かっこ悪いでしょう。あんまり多くは語りたくない……」
(2007.01 SIGHT VOL.30 渋谷陽一 北野武)

・関連
→ 赤枝医師の発言の信憑性
→ 抗HIV治療に関するよくある誤解
→ 青少年のセックスは法律で禁止しても減らない
→ 日本で新規エイズ患者数が減らない理由
→ 役に立たない保健の教科書

2009.03.31 Tuesday

コンドーム普及を妨害する偏見

アフリカを訪問中のローマ法王ベネディクト16世が「コンドームの配布ではエイズは克服できない」と発言し、波紋が広がっている。アフリカは世界のエイズウイルス(HIV)感染者の67%が集中し、国連やNGOが有効なエイズ対策としてコンドームの無料配布を続けているだけに、カトリック信者が急増している地域でのこうした発言は今後も尾を引きそうだ。
(2009.03.19 朝日新聞)
(禁欲や貞操をしたところで)HIVに感染した〔アフリカの〕女性の多くは、夫やパートナーから、感染している
(2004.09.24 The Guardian グローバル・エイズ・アップデート)
国連合同エイズ計画(UNAIDS)のコーディネーターを務めるアルベルト・ステラ氏は22日、中南米でのHIVウイルスの急速な感染拡大について、ローマ・カトリック教会がコンドームの使用を禁じていることも一因だとの見方を示した。
 UNAIDSによると、中南米のHIVウイルス感染者とエイズ発症者の数は合計で約170万人。2004年には最大32万人だった新規感染者数が2006年には最大41万人に増えるなど、急速な広がりを見せている。
 ホンジュラスやニカラグア、コスタリカを担当する同氏はロイターに対し「中南米ではコンドームが悪者扱いされているが、もし使われていたなら、地域の感染拡大は解決されることを保証する」と述べた。
(2007.10.23 ロイター)
偏見を広めてコンドーム普及を妨害している宗教はカトリックだけではない。ローマ法王の非常識な妄言と同じような意味で使われているインチキ宗教グッズが、アメリカの宗教系音楽グループなどの影響で日本にも流通しているらしい。
〔サウスパークの〕今回のエピソードのテーマは、ディズニーが仕掛けた、アイドルグループ(ボーイ・バンド)の一つ、ジョナス・ブラザーズに対する皮肉。このバンドは最近、訪日を果たしたそうです。アメリカでは若い少女の間で大人気だそうです。
The Ring(1301)
http://www.southparkstudios.com/episodes/220683/

このバンドは、ディズニー・チャンネル所属なのですが、局側の方針で、「純潔リング」(a purity ring)を指にしてステージにあがるらしい。ウィキによると、ジョナスのメンバーの家はみんなペンテコステ派の中のAssemblies of God (貧乏白人の宗教。ザ・シークレットもこの系統のビジネス) の牧師なんだそうです。
純潔リングというのは、完全にクリスチャンの文化的な象徴であって、「結婚するまでセックスはしません」という誓いのリングです。アメリカでは敬虔なキリスト教徒たちが、こういう「純潔リング」をするんだ、ということはアメリカの新聞で書かれているのを読んだことがあります。
(2009.03.13 中田安彦)
「結婚するまでセックスはしません」という誓いだけなら問題なさそうに見えるが、純潔リングは、避妊や性病について正しい知識を教えない反コンドーム教育のためにアメリカで使われている宗教グッズだ。
反コンドーム教育に洗脳されて純潔を誓った若者は初体験でのコンドーム使用率が低下し、追跡調査結果の性感染症罹患率は誓約しなかった若者と変わらなかった。純潔を誓った若者の88%は結局数年以内に誓いを破るので、その後は純潔を誓った若者のほうが危険になる。ブッシュ政権が公立学校での反コンドーム教育を推進し続けた結果、アメリカでは10代少女の妊娠が増加し、10代の性感染症も増加したという。
つまり、純潔リングは「セックスしません」という誓いではなく「コンドームしません」という異常な誓いになっているという現実が、純潔リングをネタにしたサウスパークのエピソードではラストのケニーの死に様につながる(※サウスパークでは話の途中でよくケニーがあっさり死ぬのがお約束になっている)。インチキ宗教番組みたいな教訓臭い終わり方なのも皮肉。(字幕付き動画→)www.megavideo.com/?v=3R7RQDH6
サウスパークは以前にHIV感染ネタの回もあったが、それもいつものように超サイテーな話だった。
米国では、1980年代半ばから、性病やエイズ感染症の予防から、ティーンエイジャーに性交渉の時は、避妊具(コンドーム)を使用するように指導をしていた。ところが、ブッシュ政権発足5年前から、政府はコンドームの使用に否定的な立場をとるようになった。その中心的な役割を担っているのが、「シルバーリング・シング」というキリスト教右派の宗教団体が主宰する純潔教育プログラムである。連邦政府と州政府は、数年間で100万$以上の資金をこの団体に提出して、奨励している。
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このような純潔プログラムを奨めようと、連邦政府は1億6700万$の予算を計上。但し、この助成金の支給をえた団体は、コンドームの効果を訴えることはできない。マイナス面だけを強調するように義務づけられている。
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こうした純潔教育の一貫であるコンドームを否定する教えに異議を唱えるのが、コロンビア大学のピーター・ビヤマン教授だ。彼は4700万ドルを投資し、2万人以上の若者の性行動と健康の調査プロジェクトを実施した。こうした純潔教育の効果として、初体験が18ヶ月遅れるメリットはあるものの、結局88%の若者が誓いを破り、初体験でのコンドームの使用比率が30%低く、後々影響を与えていると批判する。なにしろ、彼等は避妊具の使い方も、買い方も知らないのである。そして誓いをたてた者ほど、アナルSEXなどのリスクの高い性行動に走りがちであるという。周辺行為や、オーラルSEXは、性行為の範囲にはいらないという言い訳がつくからだ。
(2005.11.06 CBS News konstanze
 期待に反して純潔を誓った若者の各種性感染症罹患率は、誓約しなかった若者と比べて差がなかったのです。というのは、コンドームの有効性や使用法などについて教えられていないこと、性器を結合するという点においては禁欲を守るものの、口腔性交や肛門性交などに向かい、結果として性感染症を広げてしまった危険性があります。
(2005.05.06 北村邦夫医師 毎日新聞)
米国の10代少女の妊娠が2006年、15年ぶりに増加したことが、米国立保健研究所(NIH)が11日に発表した統計調査で判明した。
(2008.07.11 CNN)
米国では、性感染症(STD)が増え続けている。その中でもクラミジア感染症が特に増えており、2006年には年間約100万件の新しい感染が追加報告されるなど、記録的なものとなった。
クラミジアは米国で報告されている感染症の中で、最も身近なもの。女性の骨盤内炎症疾患や不妊の原因にもなっている。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、2006年には10万人あたり約350人が感染しており、2005年と比較して5.6%増となった。最も感染率が高いのは15歳〜19歳の若い女性のため、CDCでは26歳以下の女性は毎年検診を受けるよう勧めている。
(2007.12.17 ヘルスデージャパン)

・関連
→ アメリカの援助はアフリカのエイズ感染リスクを拡大している
→ 禁欲主義をアフリカに強制した米政府高官が買春発覚で辞任
→ 性道徳だけ教えても性感染症予防にはならない
→ 宗教によるニセ科学「HIV否定論」で母子感染拡大
→ HIV感染予防についてよくある誤解

2009.02.17 Tuesday

青少年のセックスは法律で禁止しても減らない

 アルフィーくんが12歳、シャンテルさんが14歳だった昨年、避妊せずに性交渉し、シャンテルさんが妊娠したという。
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15日付の英ニューズ・オブ・ザ・ワールド紙は、シャンテルさんが妊娠した当時、アルフィーくんを含め8人の少年と性交渉を行っていたと指摘。
(2009.02.16 日刊スポーツ)
 15歳の少女が生んだ子どもの父親として名乗りをあげていた英国の13歳の少年、アルフィー・パッテン(Alfie Patten)君が、DNA鑑定の結果、子どもの実の父親で無いことが18日に判明した。
 バッテン君は、12歳のときにガールフレンドのシャンテル・ステッドマン(Chantelle Steadman)さんを妊娠させたと主張し、10代の妊娠の多さに対する英国全土をあげての猛反省を巻き起こしていた。
(2009.05.19 AFP)
 〔イギリスの〕保健省が6月発表した2007年の人工中絶の件数を年齢別に見ると、平均では前年比3%増であるのに対し、18未満では9%増、16歳未満では10%増、15歳未満では12%増。低年齢化するほどに中絶を選択する割合が高く、性感染症に苦しむ女性も低年齢化している。
 教育基準局オフステッドが性教育の実態を調査したところ、個々の学校によって教える内容ややり方にむらがある上に、全体では生徒の学びが不完全であることが分った。現在、イングランド地方では性教育は義務教育化されておらず、生徒は主に科学の授業の中で生殖の意味や生命の成り立ちを学ぶ。
(2008.11.30 小林恭子の英国メディア・ウオッチ)
背景として、幼いころからの性教育が逆効果になってしまったという見方とシングルマザーなどへの手厚い生活保護があるのではないか、と言われている。
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少子化も困った問題だが、性教育の徹底や手厚い生活保護の結果がこれでは……
(2009.02.16 日本テレビ「スッキリ!」 J-CASTニュース モンブラン)
ちゃんと避妊せずに8人の男と性交するのは、むしろ性教育が行き届いてないからだろう。この少女たちの住むイングランド地方ではまだ性教育がまともに行われていないから問題になっているわけで、J-CASTニュースの文章は間違っていると思う。避妊や中絶を罪と考えるキリスト教原理主義団体は性教育に否定的だが、禁欲教育を推進する宗教団体による反コンドーム教育にだまされて望まない妊娠をする女性も多い。
「〔女子生徒の約13%にあたる64人が妊娠していた米国オハイオ州の高校では〕多くの生徒が性体験を持っているけど、避妊の知識はあまり持っていない」
(2005.09.05 AP通信 ライブドア・ニュース)
〔イギリスの〕警察は未成年の性行為として訴追手続きを取ることもできたが、起訴しない意向。
(2009.02.16 スポーツニッポン)
英国はヨーロッパ諸国で最も10代の女の子の妊娠率が高い国の一つで、政府によると2006年には39000人の18歳未満の少女が妊娠しており、そのうち7000人が16歳未満だったという。
(2009.02.15 AP通信 エキサイトニュース)
つまり未成年の性交を法律で禁止しても未成年の性交は減らず、妊娠した少女を孤立させる結果にしかならないということだ。日本の自治体の青少年セックス禁止条例や青少年コンドーム販売規制もまったく逆効果なので見直すべきだろう。
 浦川末子・〔長崎〕県こども政策局長は、性感染症対策でコンドームの有用性を認めながらも「〔18歳未満にコンドーム販売を禁止する長崎県少年保護育成条例の〕条項撤廃で販売を解禁すれば、性の逸脱を県が認めることにならないか」と心配する。
 性感染症は教育だけで根絶はできないが、コンドームだけでも根絶はできない。「何が本当に命、体を守ることなのか。それをきちんと教えることが本質的な解決になる」。現在の条文は「若い時はコンドームを使うような行為はしてほしくない」というメッセージとの位置づけだ。
 大串祐子・〔長崎〕県こども未来課長は「罰則規定はなく、事実上、コンドームは購入できる。相手が18歳以上なら、そちらが購入すればよい」。だから、性感染症対策上は問題ないとの立場だ。
(2009.01.16 朝日新聞 マイタウン長崎)
池上 〔青少年条例違反を〕監視なんか,できませんよね。セックスをしたかどうかなんて。それで,私が逆効果として一番危惧しているのは,結局のところ,目に付くのは妊娠した女子になる。そうすると,その女子だけ違反者みたいなレッテル貼られたりする。
 そんな対応されそうだとなったら,女子はますますだれにも相談できなくなります。女子は男子に比べると,はるかに母親や保健室の先生にからだや性の相談をしているのに,そのわずかな扉が閉ざされかねない。
(2005.02 メディカルトリビューン NPO法人ぷれいす東京代表・池上千寿子)
日本も10代の性交経験率が増えたといわれるが、それでも中絶や望まない出産は以前より減っている。実際には昔の若者のほうが性行動は無謀だったようだ。
1970年以前は毎年20〜30人の10代女子が赤ちゃんを産み殺していたのですが、最近は5人以下になってましてずいぶんと減りました。
嬰児殺(赤ちゃん殺し)検挙者数
(2009.02.01 少年犯罪データベースドア)

・関連
→ 青少年セックス禁止条例にはまったく抑止効果がない
→ 性道徳だけ教えても性感染症予防にはならない
→ 役に立たない保健の教科書
→ 宗教右派の危険性

2008.06.23 Monday

青少年セックス禁止条例にはまったく抑止効果がない

法律だけで青少年の性行動を抑制できるという考え方が理解できないのだが、この妊娠した少女たちがいるアメリカのマサチューセッツ州にも青少年のセックスを禁じる州法は存在する。
 同州では16歳未満の少女との性交は犯罪。当局は相手の男性らを強姦(ごうかん)罪で訴追するかどうか検討している。
(2008.06.21 朝日新聞)

現在のブッシュ政権は宗教的価値観を重視する政策のため、公立学校では生徒に避妊や中絶に関する正しい知識を教えない。そのためアメリカでは高校生の妊娠が日本よりはるかに多いが、中絶を否定するキリスト教信者が多いので、中絶せずに出産する例が多い。
キリスト教原理主義者が多数派の国アメリカでは、公立学校で牧師が生徒に「性器に触れるだけで妊娠する」「HIVは涙や汗を媒介に感染する」など誤った性知識を教えている。
ブッシュ政権は、絶対禁欲主義の性教育プログラムを採用する団体に1億7000万ドル(約172億円)の予算をつけている。絶対禁欲主義の性教育プログラムは1999年に始まり、その数は100以上、数百万人の9〜18歳の青少年が参加している。
(2004.12.03 ロイター/ワシントンポスト)
指導員が少しでも生徒に避妊の仕方を教えると政府の助成金は打ち切られる。
(町山智浩アメリカ日記:避妊も禁止の性教育)
この禁欲教育はまるで効果がなく、純潔を誓った若者の性感染症罹患率は誓約しなかった若者と比べて差がなかった。
「純潔の誓い」を立てた2万人以上の若者を面接調査した結果、誓いを破った者は、88%に達していたという。
(2005.10 CBSドキュメント)
コンドームの有効性や使用法などについて教えられていないこと、性器を結合するという点においては禁欲を守るものの、口腔性交や肛門性交などに向かい、結果として性感染症を広げてしまった危険性があります。
(2005.05.06 毎日新聞)
オハイオ州の高校では、女子490人のうち約13%にあたる64人が妊娠していた。
「多くの生徒が性体験を持っているけど、避妊の知識はあまり持っていない」
(2005.09.05 AP通信/ライブドア・ニュース)
→ http://2xxx.jugem.jp/?eid=3

キリスト教の影響が少ないはずの日本でも、条例で青少年のセックスを禁止する県はいくつもある。さらに長崎県の条例では18歳未満にコンドームなどを販売することができない。つまり長崎県では18歳未満の男女はまったく避妊できないのだ。こういう条例の影響でインターネット通販業者もコンドームを18歳未満に販売しない場合がある。
第9条(自動販売機等による販売等の自主規制)
2  避妊用品自動販売機業者及び避妊用品に係る自動販売機管理責任者(以下「避妊用品自動販売機業者等」という。)並びに自動販売機によらず避妊用品を販売することを業とする者は、避妊用品を少年に販売し、又は贈与しないように努めるものとする
(長崎県少年保護育成条例)

厚生省は自治体にコンドーム自販機を規制するなという通達を1993年に出しているがいまだにコンドーム自販機の規制を改善していない県がある。
コンドーム自動販売機の設置について調べた結果、制限のない県(9県)と制限のある県(38県)に分かれ、未設置の県(10県)もあるなどその取扱いには地方によりかなりの差異があることが判明した。また、現在制限を設けている県においても、約3割がその見直しについての検討を行う可能性を示唆している。
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現在コンドーム自動販売機に関して各都道府県が青少年の健全育成の見地から設けている諸制限については、エイズに対する啓発普及の浸透等の動向を勘案しながら、地域の青少年健全育成関係者とも十分連絡をとりつつ時宜に応じた見直しが行われるよう御配慮をお願いしたい。
(1993.02 厚生省保健医療局)

たとえば岡山県では2006年までコンドーム自販機を条例で全面規制していたため最近まで県内にはコンドーム自販機がまったくなかった。条例は一部改正されたが自販機設置場所の制限は残っている。
 改正県条例は、学校、図書館など教育、文化、体育施設や公園の周辺を除きコンドーム自販機の設置を可能とした。県青少年課は「青少年の健全育成を目的に制限を設けており、規制緩和は青少年に性行為を推奨するものではない」としている。
(2008.02.10 山陽新聞)

長崎県でも条例を改正すべきだという議論はあるが、コンドーム販売規制の悪影響を示す中絶率の統計を示されても議論はまったく平行線だった。
・ 条例で少年〔18歳未満の男女〕へ自動販売機,店頭での販売を自主規制しているのは長崎県だけ
・ 自動販売機を野外に設置してはいけないと規制しているのは長崎県と岡山県〔平成16年当時〕
・ 販売の自主的な規制をしているのが熊本県と鹿児島県
・ 教育施設等の周辺に自動販売機の設置を規制しているのが滋賀,京都,奈良,広島,鳥取,愛媛,佐賀,宮崎県
・ 〔コンドーム自販機の〕規制をしている鳥取県では人工妊娠中絶率が14,15年は全国トップ
(平成16年度第2回長崎県少年保護育成審議会会議結果より抜粋)
 でも考えてみれば,中学生がセックスすること自体がけしからんという理由から性教育に反対するのもおかしな理屈です。「この船は沈まないようにできていますので救命胴着の場所も着け方も教えません。でも大丈夫です,みなさん安心してください」といったような議論をなぜ平気でできるのか。
 仮に,中学生のセックスを「悪」だとしましょう。でも病気になった子どもを助けなくて,いいんでしょうか。これは人道の問題ですよ。凶悪犯だって治療するでしょ。たとえば警官隊と撃ち合った犯人が怪我をしたら,取り調べをするより前に病院に運び,治療を受けさせますよ。自業自得と言って放置はしません。それと同じですよ。
(2005.02 メディカルトリビューン・山口貴士)

・関連
→ 性道徳だけ教えても性感染症予防にはならない
→ 役に立たない保健の教科書
→ 宗教右派の危険性

2008.03.13 Thursday

日本では20代女性の20%がHPV、アメリカでは10代でも18.3%が感染

HPVについては国や地域によって少し差があるようです。例えば日本では、20代の女性の20%が感染していることが分かっています。アメリカでは14〜19歳の女性で24〜25%、20〜24歳で44〜48%の感染率とのデータがあります。
(2007.05.26 読売新聞)
 HPVは子宮頸がんを引き起こすことが知られるが、男性への影響はほとんど明らかになっていなかった。米国では、年間1万1000人が感染、感染率は60歳以下で27%、20〜24歳の女性では45%が既に感染しているとされる。
(2007.05.14 ZAKZAK)
 アメリカでは少なくとも4500万人が〔ヘルペスに〕感染し、12才以上の5人に1人は感染者であると考えられています。女性の場合は4人に1人が感染者です。
(2005.08.01 サンディエゴの日系紙「ゆうゆう」)
HPV(ヒトパピローマウイルス)は100種類以上存在し、なかには尖圭コンジローマや子宮頸癌の原因ウイルスもある。皮膚や粘膜に感染し、体内に感染しない。多くは無症状のまま自然治癒するとても一般的な感染症だ。

アメリカでHPV(ヒトパピローマウイルス感染症)やHSV(ヘルペス)などの感染率が高いことは以前から知られており、10代に限った話ではない。しかしアメリカで10代の性病が多いのは、キリスト教原理主義団体を支持母体とするアメリカ共和党政府が、公立学校で牧師が誤った性知識を教える絶対禁欲主義の性教育プログラムを推進していることも原因と考えられる。
指導員が少しでも生徒に避妊の仕方を教えると政府の助成金は打ち切られる。
(町山智浩アメリカ日記:避妊も禁止の性教育)
「多くの生徒が性体験を持っているけど、避妊の知識はあまり持っていない」
(2005.09.05 AP通信/ライブドア・ニュース)

・関連エントリ
> 性道徳だけ教えても性感染症予防にはならない

2008.02.22 Friday

茨城県立高校の必修道徳テキストでカルト宗教信者のニセ科学本を引用

 茨城県の県立高校の道徳で使われているテキストに、特定の宗教を広めようとする内容が含まれているとして、県高校教職員組合は21日、県教育委員会に削除するよう是正措置を求めた。「宗教教育を禁じた憲法に違反する」と主張している。これに対し県教委は「テキストには特定宗教の記述はない」などとし、「問題ない」としている。
 茨城県では今年度から県立高校1年生で道徳を全国で初めて必修化。道徳のテキストは現在、105校が使っている。
 県高教組が問題視しているのは、村上和雄・筑波大名誉教授(遺伝子工学)の著書「生命のバカ力」(講談社)から引用した部分。文中の「サムシング・グレート」(何か偉大なもの)という言葉が、村上氏の別の著書では、天理教の「親神様」などをさし「教祖の教えを知らない人にも(親神様の働きを)伝えたいと思っている。だから私は、最近の本では『サムシング・グレート』という言葉を使っています」とある。
(2008.02.22 朝日新聞)
 地球上に存在するあらゆる生き物、カビなどの微生物から植物、動物にいたるまで、少なく見積もっても2百万種、多く見積もると2千万種と言われていますが、これらすべてが同じ遺伝子暗号によって生かされているのです。
 こうした奇跡的な現実を前にしたら、どうしてもサムシング・グレートのような存在を想定しないわけにはいかなくなります。
 サムシング・グレートとは、具体的なかたちを提示して、断言できるような存在ではありません。どのように思われても、それは自由です。
 ただ、私たち生命体の大本にはなにか不思議な力がはたらいていて、それが私たちを生かしている、私たちはそういうものによって生かされているという気持ちを忘れてはいけないと思います。
(道徳テキスト「ともに歩む―今を、そして未来へ―」より「生命(いのち)はゼロからつくれない」)

問題となった文章の著者・村上和雄は天理教の広告塔として有名で、統一教会系団体「国際科学振興財団」の理事でもあるインテリジェント・デザイン論者
私の考えるサムシング・グレートは、単なるデザインの問題ではない。最初に生物を創ろうとする大自然の意志のようなものがあり、それに沿ってデザインがなされ、さらにいまなお一刻の休みもなく働き続けている、全生物の親のような存在と働きをサムシング・グレートと名付けている。
(2006.12.01 産経新聞 村上和雄「いのち」はなぜ尊いのか)

茨城県教育庁は以前に産経新聞の記事で、高校に道徳教育を導入することで性感染症対策を性道徳教育にすりかえるような発言をしていた。
県では19年度から県立高校で道徳教育を全国で初めて導入することもあり、県教育庁学校保健担当は「性を語る上で、望ましい男女間、人と人とのつながりは欠かせない。性感染症を避けるためにも、青少年の性交渉は抑制していく方向で指導していきたい」と話している。
(2007.03.25 産経新聞)
この発言も宗教的な純潔教育にこだわっているように見えるが、道徳テキストにニセ科学本の文章が使われていることを容認する姿勢は完全におかしい。まるで茨城県教育庁じたいがカルト宗教系組織のようだ。

2007.12.12 Wednesday

「性の相談室」カードから「セックス」など削除で相談件数激減

 電話相談事業は、〔島根〕県が日本助産師会県支部に委託して、昨年6月から始めた。同支部はこれに合わせて、フリーダイヤルの番号を記した名刺大のカード5万枚を作製。「性の悩み」として14の具体例を挙げ、夏休み前に県内の中学・高校生に配布しようと、各学校に送付した。
2006年度のPRカード
 その後、カードを受け取った中学校関係者から、県の教育事務所経由で県教委に「中学生に配るのは不適切ではないか」と疑問の声が届いた。カードに記された「セックス」の言葉が、中学の学習指導要領にないことを問題にしていた。
 「セックス」は中学の保健体育の教科書で、「性的接触」と表現されている。県教委保健体育課の荊尾玲子・指導主事は「望まない妊娠をするおそれのある子がいる一方で、『セックス』の言葉に嫌悪感を示す子もいる。いっせいに配るカードは学習指導要領を基本にするべきだ」と判断した。
 これを受け、同支部は県健康推進課や県教委保健体育課と相談のうえ今年度、新しいカードを作り、文面を改めた。「大切なあなたのこころとからだ 『どうしよう!?』の疑問にお答えします」などと簡素にし、夏休み前に5万枚を配った。
2007年度のPRカード
 相談件数はスタート直後の昨年7月に62件あったが、今年7月は6件。7〜9月の合計は昨年の105件から、今年は21件に減った。
(2007.12.11 朝日新聞)
性教育で直接的な表現を避けることは無意味で、生徒には何も伝わらないということがよくわかる事例。日本エイズ学会の調査によると、保健の授業では具体的な性病予防について教えない高校が多く、性病の感染リスクが周知されていないという。避妊方法を正しく理解しないままセックスしている例も多いようだ。

2007.10.20 Saturday

若者の性感染症は増えているか

民間団体「STOP!STDを考える会」による性感染症の調査結果を産経新聞と毎日新聞が記事に掲載した。「STOP!STDを考える会」は医療情報企業の株式会社メディプロデュースが運営している団体らしい。
 若者の街、東京・渋谷駅周辺に集まる高校1年生の35%、高校3年生では71%に性経験があるなどとする調査結果を、性感染症予防の啓発活動を行っている民間団体「STOP!STDを考える会」がまとめ、10日発表した。
 性経験率が高い半面、性感染症に対する意識は低いことも判明。考える会は「早い段階で性教育を行って性感染症への正しい知識を得ることが重要だ」としている。
 8月に渋谷駅周辺の街頭やクラブで15歳以上20歳未満の男女にアンケートを実施、466人から回答を得た。
(2007.10.11 産経新聞)
 医療関係者らによる性感染症(STD)啓発団体「STOP!STDを考える会」が東京・渋谷で遊ぶ10代後半の若者にアンケートしたところ、17人に1人がSTDにかかった経験があると回答した。同会は「性行動が極めて活発と思われるグループのデータだが、性感染症の知識は不十分で、知らないうちに病気を広めている危険がある」と分析している。
(2007.10.15 毎日新聞)
この調査、明らかに地点に偏りがある。しかも、《渋谷駅周辺の街頭やクラブで15歳以上20歳未満の男女にアンケートを実施》というけれども、単なる聞き取りである可能性は非常に高い(ちなみにアンケート調査といっても、配票調査法、集団記入法などのやり方がある)。
 要するに、この調査、渋谷という地点に限って採り上げるならともかく(それでもかなり怪しいのだが)、全国の高校生一般に適用するのは大変難しいものなのである。
(2007.10.11 後藤和智の雑記帳)

たしかに新聞記事を見ただけではこの調査の信憑性や団体の目的は疑問だらけだが、関連サイトを見るとこの団体がまじめに若者への性教育のためにいろいろやっていることはわかる。

「STOP!STDを考える会」の発表した資料によると渋谷でのアンケート結果は、3年前に行われた『全国高校生の生活意識調査』(社団法人全国高等学校PTA連合会調べ)と比較して性体験率や体験人数が多かったのだという。『全国高校生の生活意識調査』によれば、性経験率は高1で1〜2割、高2で2〜3割、高3で3〜4割で、90年代半ばから男女性経験率が逆転して女子の性体験率が高くなったらしい。

しかし現在の10代だけが危険というわけではないはずだ。民間団体の調査より正確そうな厚生労働省/国立感染症研究所のデータを見ると、クラミジアは男性は25〜29歳、女性は20〜24歳の報告数が最も多く、ヘルペスや淋病では30〜34歳の男性の報告が多い。2007年8月のクラミジア報告数を詳しく見ると15〜19歳女性の感染者数は30〜34歳女性の感染者数よりは多いが、過去10年間の若年齢層(15〜29歳)のクラミジアと淋病の定点報告数推移は2003年以降やや減少している。ただこの10年で10代〜30代の人口比はかなり変化していることを考慮すると感染率が減少しているかどうかは判断しにくい。

日本感染症学会初代理事長でもある札幌医科大の熊本悦明名誉教授によれば1988年から2002年にかけては女性のクラミジア感染率が約4倍になっているという。感染症法が施行された1999年以前に厚生労働省/国立感染症研究所がまとめた1987〜1997年の性感染症患者報告数の推移と見比べると熊本悦明教授のデータはやや過剰かもしれないが、この時期にコンドーム出荷数が低下してクラミジア感染率が増加していたことは確からしい。
性感染症患者報告数の推移
(感染症サーベイランス 性感染症患者報告数の推移)

熊本悦明教授は渋谷の調査を行った民間団体「STOP!STDを考える会」が制作した性教育DVD「エッチの掟」も監修している。この性教育DVDの映像はGyaO!でも何度か配信されている。
 DVD『エッチの掟』の制作・著作は,任意団体「STOP!STDを考える会」となっているが,それを完全にバックアップするのは,AV業界の最大手ソフト・オン・デマンド社。
(2007.04 Sexual Science online)

ところで1999年に全国3,562人を対象に行われた厚生省調査でも性病について正しい知識を持っていない人が多いという結果がある。つまり性病について正しい知識がないのは若者だけではない。

もちろん民間団体も言うように性に対する興味が強くなる時期に早い段階で性教育をする必要はあるが、若者のことだけを調査した発表は単なる若者叩き記事に利用される危険性も強い。早い段階での性教育が必要ということを示すための資料が、なぜか性教育バッシングに利用されてしまうこともあるので注意してほしい。
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