2016.12.08 Thursday

パチンコ企業を営業時間や賭金の規制がないカジノに参入させるカジノ解禁は依存症を悪化させる

 自民・公明と維新が異例の短時間でカジノ解禁法案を成立させる国会運営を新聞各紙が批判する一方で、ネットではカジノ解禁を正当化したがる言説があふれていますが、悪質な嘘が多いです。

 まず、橋下徹などによる「既にパチンコや公営ギャンブルによるギャンブル依存症があるから同じ」説ですが、アメリカでギャンブル依存症を研究するマサチューセッツ工科大学のナターシャ・ダウ・シュール教授は、営業時間や賭金に制限がないカジノの連続性が依存症につながると指摘しています。終日ギャンブル場にいる常連客を見たことがある人なら想像がつくと思いますが、営業時間規制がないと依存症患者は持ち金がなくなるまで家に帰らず、問題は悪化します。IR法案は従来型のギャンブル営業規制に抜け穴を作り海外カジノ並みに24時間営業で青天井のカジノ営業を可能にする「国際競争力の高い」規制緩和が前提。パチンコ企業を営業時間や賭金の規制がないカジノに参入させるカジノ解禁は、依存症を悪化させる危険性が高く「包括的なギャンブル依存症対策」とは矛盾します。
“Another core aspect of the addictiveness is their continuous nature. You’re not interrupted by anything; you’re not waiting for the horses to run, you’re not waiting for the guy next to you to choose his card to put down; there’s no roulette wheel spinning. It’s just you and the machine. It’s a continuous flow without interruption,” Schull said.
(2011 Slot Machines: The Big Gamble CBS 60 Minutes)
第六条 政府は、特定複合観光施設区域が地域の特性を生かしつつ真に国際競争力の高い魅力ある観光地の形成の中核としての機能を備えたものとなるよう、必要な措置を講ずるものとする。
(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律)
確かに自助グループへの支援など依存症対策の強化は必要ですが、依存症が完治しない病気である(回復はするが、いったん依存症になったら脳の状態は戻らない)ことを踏まえると、依存症対策をすればカジノを作っていい、という主張は「消防車を増やすから火事を出してもいい」といったレベルの論理であり、まさにマッチポンプでしかありません。
(2016.12.06 稲葉剛)

 「カジノ反対派はパチンコ業界と癒着」説はまったく逆。海外カジノにも参入実績があるパチスロ大手ユニバーサル社からファミリー企業に毎月100万円のコンサルタント報酬を受け取っていた自民党の石原宏高議員のように、パチンコ企業と密接な関係にあるのはカジノ推進派議員のほうです。ユニバーサル以外のパチンコ大手セガサミーやダイナムもカジノ参入を公言。カジノを推進するIR議連の幹部はパチンコ業界団体の「政治分野アドバイザー」も務めています。収益悪化で衰退しているパチンコ業界が、大幅な規制緩和になるカジノ参入を狙っているだけで、カジノ推進派とパチンコ業界が対立してるわけではありません。パチンコ企業と密接なIR議連はカジノ解禁と同時にパチンコの換金も合法化していく方針だそうです。
 なんとも不思議な「コンサルティング契約書」である。
 平成23年6月1日に結ばれ、甲は石原宏高代議士の夫人が代表の有限会社IMS。乙は遊技機メーカー・ユニバーサルエンターテインメント(UE)の香港法人で、岡田和生UE社会長がサインをしている。
(2013.03.21 現代ビジネス 「比カジノ事業の疑惑が日本に飛び火!? 石原宏高代議士のファミリー企業に月100万円のコンサル料を支払ったUE社の思惑とは」 伊藤博敏)

 「カジノ法案に反対した野党はパチンコや公営ギャンブルに反対してない」説はデマで、少し検索しただけでも、赤字競輪場の廃止場外発売所パチンコの出店地域規制を厳格化などのギャンブル規制が提言されています。議会でパチンコや公営ギャンブル施設の乱立を容認してるのは自民党側です。
1980年代以降、各ギャンブルとも、売り上げが減り、赤字経営に陥るなど地方自治体の足かせになっているところも出てきました。政府はその売り上げを伸ばすために、「競輪・オートレース法改正案」(2002年)、「競馬法改正案」(04年)を出してきました。日本共産党は、この法案がギャンブル事業の業務を民間事業者に委託できるものであり、競馬で重勝式投票方法でのギャンブル性の拡大、学生の購入制限の解除などが盛り込まれていることから、反対しました。
(2007.02.24 しんぶん赤旗)

 「カジノは富裕層向け」「パチンコより健全」「カジノの入場年齢制限はパチンコより厳しい」説は嘘。現在の海外カジノで主流のビデオスロットは、1回に最大200ラインまで賭けられる機種や、オンラインで数百台を連動させる高額ジャックポットの広域型プログレッシブマシンなど、演出効果も射幸性も中毒性もパチスロ以上で、1セントから賭けられるペニースロット。48州でカジノが解禁されているアメリカでは、カジノ区域外の空港やコンビニや飲食店にまでスロットマシンが並んでいて、出店地域制限も入場年齢制限も機能していません。日本のパチンコ店駐車場で乳幼児の死亡事故が多発した原因は、風営法により入場年齢制限が厳格化され、地方によってはベビーカーの入店まで禁止する警察指導が行われたからで、入場年齢制限はパチンコのほうが厳しそうです。つまり海外カジノ並みの「国際競争力の高い」IR施設を運営する場合、パチンコより入場年齢制限が緩和されてしまいます。
日本のパチスロにはない多彩なゲーム性が楽しく、なかなか飽きることがない。ラスベガスでは空港、コンビニ、スーパーなど、街中のいたるところにスロットマシンが置いてあるが、人気の理由はやはり、そのゲーム性の高さだろう。
(2014.07.16 SPA!)
ペニースロット なぜ楽しいのか。それは的中パターンや的中ラインが増え(たとえば右写真の場合、的中ラインが20ある)、的中率が劇的に高まるからだ。簡単に言ってしまえば、「回すたびに毎回何かが当たりそう」といった楽しい気分でプレーできるというわけだ。
 毎回当たっていたのではカジノ側が儲からないような気もするが、そんな心配は無用だ。じつはペニースロットといっても、1セントだけ賭けてプレーしている者などほとんどいない。一度に数十枚賭けるのが常識で、メーカー側の話によると、統計では平均約70枚賭けているという。そして各当たりの配当は必ずしも賭けた枚数よりも多いとは限らないのでカジノ側は損をしないというわけだ。
(2005.08.10 週刊ラスベガスニュース)

 「カジノは外国人観光客向け」説は嘘で、カジノを推進するIR議連はすでに「外国人限定」案を「カジノ施設の運営が成り立たない」として撤回しました。当初「外国人専用」としてカジノ合法化したベトナム韓国でも、後に自国民も入場可能に法改正しているように、外国人観光客だけでは経営が成り立たない施設が大半なのが現実。48州でカジノが解禁されているアメリカでも地元住民向けのサービスに注力するローカルカジノが増えています。
 外国人への入場限定案については、維新の党などに「カジノ施設の運営が成り立たない」などの慎重論があった。
(2014.10.10 日本経済新聞)

 「カジノで税収が増える」「成長戦略の目玉になる」説には無理がある。現在パチンコの貸玉料金には消費税がかかっていて、不正カード防止のため警察OB天下り会社がカード売上や利用状況をオンライン監視しているので、賭金あたりの税率は高く脱税もバレやすく、店が赤字でも消費税の納付義務があります。ところが「国際競争力の高い」海外並みルールのカジノでは客への還元率が95%以上なので、パチンコ企業と客をカジノに移行させると賭金あたりの税率は激減。IR施設の維持にも費用がかかるので、海外でも集客が減り赤字に転落しているIR施設が多く、長期的な税収増は困難。カジノ移行するパチンコ企業への減税になるだけ。
 公営ギャンブルと比較しても、たとえば競輪場は賭金の20%以上が運営自治体の取り分なのに、運営赤字で撤退する自治体が多いのが現状。運営の取り分が少ないカジノで税収が増えるとは考えにくい。
 シンガポールは、カジノ付き統合リゾート(IR)が売り上げを落としている。同国でIR「リゾーツ・ワールド・セントーサ」を運営するゲンティン・シンガポールは、2015年10〜12月期の最終損益が780万シンガポール(S)ドル(約6億3600万円)の損失となり、前年同期の8920万Sドルの黒字から赤字に転落した。富裕層客の減少などが要因だ。
(2016.03.04 SankeiBiz)

 「日本のパチンコ・公営ギャンブル売上は海外カジノ売上より多い」説は比較する数字の間違い。パチンコや競馬競輪競艇の売上は「賭金の総額」ですが、海外カジノの売上として公開されている数字は「賭金の総額から客への配当金を差引いた収益」。海外カジノは客への還元率が95%以上なので、数字が低く見えるだけ。
・カジノ売上高:カジノで顧客の賭け金の総額から、顧客に支払った額を差し引いたものを基本とし、金額を調整したもの。各国の会計基準や各社でそれぞれ「Casino Revenue」、「Gross Gaming Revenue」、「Gross Gaming Win」、「Operating Revenue」等の用語が用いられ調整項目が異なるが、本レポートにおいては便宜的に「カジノ売上高」と定義する。
(平成26年6月 東京都 IR(統合型リゾート)に関する調査業務委託報告書)

 「カジノ運営はアメリカのカジノ大手」という話は最初だけで、最後まで面倒を見てくれるわけではありません。アメリカのカジノ大手MGMリゾーツとラスベガス・サンズはベトナム進出時、カジノを「外国人専用」とする法規制が経営に不利と判断、開業直前で撤退した前科があり、儲からないと判断したら即撤退します。カジノも日本の公営ギャンブル場と同様に長期的には収益が悪化する例が多いのですが、もしアメリカのカジノ大手が日本から撤退した場合、日本でカジノを運営するのはパチンコ企業ばかりになりそうです。
アメリカのカジノ大手ラスベガス・サンズも、ベトナムでの計画が頓挫した。これらは、ベトナム国内の住民にカジノで遊ぶことが認められそうになく、中国からの旅行客だけに頼ることは経営に不利だと判断したためだという。
(2013.12.19 NewSphere 「建てれば客が来る」アジアのカジノ建設ブームに海外紙が警鐘)

 「カジノはIR地域にしか設置されない」条文も信用できません。競馬なども合法化当初は地域限定でしたが全国に拡大、場外発売所やネット販売も解禁されました。しかも競艇では、法律上の明文規定がなかったのに監督官庁が全国に場外発売所を認可していた前例があります。名古屋などで住民が設置に反対する行政訴訟を起こしましたが、法律にない場外発売所も「他の公営ギャンブルで前例があるから」と裁判所が認める判例を出してしまいました。この判例に従うと、カジノも「他の公営ギャンブルで前例があるから」と、全国的な場外カジノやオンラインカジノを監督官庁の認可だけで解禁される可能性があります。日本のギャンブルは監督官庁の利権になっていて、事業全体の売上低迷が問題になると安易な規制緩和が強引に行われる傾向があるので要注意です。
このように,自転車競技及び小型自動車競走においては,法律の明文において場外発売場の設置が認められているのであるから,同種の公営競技で共通の構造を有する競走法や競馬法が,場外発売場の設置を認めない趣旨で立法されたものと解することには合理的な理由がなく,そのように解すべきものとは認められない。
(平成18年7月20日 名古屋地方裁判所民事第9部)

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【追記】

 「依存症患者のギャンブル利用をマイナンバーで制限」案は悪用される危険性が高いです。競馬など既存のギャンブルでも一時的に設定された高額入場料や入場制限が緩和されてきた歴史があります。カジノ法案を通過させる言い訳の依存症対策も数年後にはギャンブル依存症とは無関係なゲーム規制だけの話に矮小化され、マイナンバーはギャンブル施設の集客目的にだけ悪用される事態になりかねません。アメリカの地元民向けローカルカジノでもリピーターを囲い込むために様々な工夫が行われています。
 具体案としてあがっているのがマイナンバーを活用して入場回数を管理する方法。過去に依存症と診断されたことがある人や、依存症の疑いがある人に対し、入場回数を制限したり、入場を禁止したりする制度を検討します。上限回数などは与党協議で詰めるとのこと。
 この方針では「入場回数の制限や禁止に当たるかどうかを調べるために、全入場者がマイナンバーを提示」しなくてはならないことになります。
 つまり、自らの社会保障や税番号の制度である「絶対他人に知られてはいけない」はずのマイナンバーを持ち歩き、カジノの入口で提示するというまるで冗談のような事態になってしまうのです。
(2016.12.19 BUZZAP!)
 統計によるとラスベガスのカジノの売り上げの3分の1は地元民、3分の1が車で4〜5時間で来ることができる南カリフォルニア(ロスアンゼルス、サンディエゴ地区)からの来訪者、そして残りの3分の1がニューヨークやシカゴなどの全米各地および世界各国から航空機を使ってやって来る観光客によって支えられている。
(1998.09.16 週刊ラスベガスニュース)
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2016.07.25 Monday

小池百合子と表現規制を推進する宗教組織と高橋史朗の関係

 東京都知事選で有力候補とされている小池百合子元防衛相が、2011年の国会で表現規制に関する請願を紹介していた件が話題ですが、この「仮想の児童ポルノ単純所持を処罰すべき」とする請願の要旨は、「日本会議」政策委員の高橋史朗が自民党の機関紙に発表した主張とほとんど同じです。
 現行の「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」では児童ポルノの売買や譲渡は処罰の対象としているが、「単純所持」は処罰されない。また、ネット上においても、児童ポルノをパソコンや携帯電話に取り込む「単純所持」が許される限り、違法画像が児童ポルノサイトに掲載されると、不特定多数の利用者がコピーを繰り返し、画像が無数に広がり、負の連鎖を断つことができない。さらに、漫画やアニメ、ゲームソフト等「仮想のわいせつ画像や性的虐待の表現」も目に余り、これ以上、児童ポルノの氾濫を放置しておくことはできない。一日も早く児童ポルノサイトに接続できなくなる制度等を導入し、全ての「単純所持」を処罰できる有効な法律改正をすべきである。
 ついては、次の事項について実現を図られたい。
一、児童ポルノに関して、全ての「単純所持」を処罰できるよう、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」の早期改正をすること。
(2011 第178回国会 請願の要旨)
 さらに高橋史朗は,「児童ポルノの定義から絵を削除したが,疑問が残る」(p.61),「同法案は実存する児童を被写体としたポルノに限定したが,コミック,アニメなどの児童ポルノについても厳しく規制すべきである.悪質で露骨な性描写の目立つ『少年少女向けポルノコミック』なども児童をターゲットにした大人のいやしき商業主義にもとづくものであり,当然規制すべきである」(p.60)と主張している.
(1999 高橋史朗 「児童買春 豊かな社会の心の貧困 問われる大人の性モラル 児童買春等処罰法が成立」『月刊自由民主』555号 自由民主党)(2016.01.08 Ingsoc)

 小池百合子は宗教組織「日本会議」国会議員懇談会の副会長ですが、高橋史朗は「生長の家学生会全国総連合」委員長から日本会議の母体「日本青年協議会」の幹部になった人物。
 また高橋は、「臨時教育委員会」専門委員、内閣府「男女共同参画会議」委員など、自民党政権でも重用されていて「付き合いで請願の紹介議員になった」程度の関係性ではありません。
 2008年にも小池百合子は表現規制に関する請願の紹介議員をしていますが、この請願の紹介議員は日本会議系の規制派議員だらけだったと指摘されています。
 日本会議の集会には崇教真光や霊友会や佛所護念会教団やキリストの幕屋などの信者が多数参加、そして統一教会など宗教団体のイベントでは高橋ら日本会議幹部が講師を務めています。
 確かに、GHQに押収された「生長の家」の創始者・谷口雅春の著作をアメリカのアーカイブから見つけ出したのだとすれば、教団としては大金星にちがいない。世代的にも地理的にも「日本青年協議会」系の学生運動と距離のあった高橋が「日本青年協議会」の幹部となったのは、この宗教的実績が根拠だと見るのが自然だろう。
(2015.11.08 菅野完)

 日本会議は「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の母体でもあり「表現の自由」などの人権を保障しない考え方に改める自民党の憲法改正草案に強い影響を与えた団体だと報道されていますが、小池は2012年民主党政権時の衆議院予算委員会で、この自民党改憲草案を丸のみしろと当時の野田総理に要求していました。
○小池委員 私は、社会保障と税の一体改革、先ほどから、処分が甘い、そして命をかけると言っていたのにと、このように申し上げているわけでございますけれども、また、ある意味で、この法案そのものは自民党案の丸のみということを表現される方もおられます。私は、むしろ安全保障の案を丸のみしてほしい。ましてや、憲法改正草案もちゃんと準備いたしておりますので、いっそのこと丸のみするということも、我が国が有しているエネルギーそして時間ということを考えたら、いっそのこと早いんじゃないですか。どうですか、総理。
(平成24年7月9日 第180回国会 予算委員会 会議録)
「緊急事態であっても、基本的人権は制限すべきではない。」との意見もありますが、国民の生命、身体及び財産という大きな人権を守るために、そのため必要な範囲でより〔表現の自由などの〕小さな人権がやむなく制限されることもあり得るものと考えます。
(平成24年10月 改正草案Q&A 自由民主党 憲法改正推進本部)
〔阪口正二郎教授〕「財産権を『大きな人権』に位置付け、『財産権という大きな人権を守るため』と表現の自由が制限されていいというのは、全く逆です」
 重要な人権が制限されかねないと、なぜ阪口さんは考えるのか。「この『Q&A』では『(人権は生まれながらに誰もが持っているという)西欧の天賦人権説に基づく規定は改める必要がある』と書いており、国民に憲法尊重義務を新たに課すと主張するなど、人権より国家が優位だと考えている印象を受けます。そこで『国民の生命、身体及び財産という大きな人権を守るため』という部分を、『国家を守るため』と読み替えてみると、その意図がはっきりします」
(2016.05.23 毎日新聞 江畑佳明)
第一八条(基本的人権の制限) 権利は義務を伴う。国民は、互いに自由および権利を尊重し、これを濫用してはならない。
  2 自由および権利の行使については、国の安全、公共の利益または公の秩序の維持のため、法律により制限することができる。
(2013.4.26 産経新聞80周年「国民の憲法」) 起草委員長 田久保忠衛(日本会議議長)

 分裂選挙で自民党都連の公認でない小池を多くの自民党議員が支援しているのも、都連のメンツより宗教組織との関係を重視する議員が多いからでしょう。「日本会議国会議員懇談会」特別顧問「親学推進議員連盟」会長でもある安倍首相側は小池の出馬を容認している説もあり、党と対立するほどの大義もないようです。
 「保育所の広さ制限などの規制緩和(安全性無視の詰め込み)」「子供食堂などを活用(行政の責任放棄)」「満員電車ゼロへ2階建通勤電車の導入促進(乗降に時間がかかり遅延するなど過去に失敗例あり)」「空き家をシェアハウスにして保育士に現物支給(違法タコ部屋)」など小池のトンデモ政策や、公式サイトに掲載されている日本会議議長の田久保忠衛との対談「東京に核ミサイルを」のようなリスク無視の思想も、宗教組織に影響された非現実的な精神論でしかありません。東京五輪を控えた都知事選にもかかわらず、小池が外国人差別発言を繰り返しているのも、宗教的な差別意識を選挙に利用する意図がありそうです。

 高橋史朗は「親学推進協会」の会長ですが、小池百合子は2012年に国会内で行われた「親学推進議員連盟」勉強会にも参加していました。この宗教的な勉強会では高橋が講演し、先天的要因による発達障害児への差別を助長するトンデモ資料を配布、関係者の抗議が殺到したと報道されました。
 高橋史朗は宗教団体「モラロジー研究所」の特任教授で、差別的な親学関連書籍の多くはモラロジー研究所から出版されています。
 超党派の国会議員でつくる「親学推進議員連盟」が5月末「発達障害を予防する伝統的子育て」をテーマに勉強会を開いたことが分かった。配布資料には発達障害児の育児環境を「(子どもへの)声かけが少ない」とした表や「発達障害児は笑わない」「予防は可能」などの記述もあった。発達障害は子育ての問題だと受け取られかねない内容に、関係者の抗議が殺到、議連側は最終的に陳謝した。
(2012.06.12 毎日新聞)
 改正教育基本法成立の数日後にできた「親学推進協会」(富山県)も、独自に親学を広めた。約20の専門学校や短大で親学の授業が行われ、協会が認定した「親学アドバイザー」は1300人以上いる。
 同協会長は明星大学特別教授の高橋史朗氏だ。日本会議によると、高橋氏は現在、日本会議の運動方針作りに関わる政策委員を務める。
 親学という言葉は07年1月、第1次安倍政権の「教育再生会議」第1次報告に、「親として必要な『親学』を学ぶ機会を提供する」と盛り込まれた。
 日本会議は同年3月の理事会で、安倍政権に「親学」普及本部の設置などを求める「教育改革プラン」を決定。自民党が野党だった12年4月には、超党派の「親学推進議員連盟」が発足し、安倍晋三首相が会長に就いた。
 高橋氏は第2次政権の13年からは、内閣府の男女共同参画会議の議員を務める。
(2016.06.17 朝日新聞)

 「新しい歴史教科書をつくる会」は都知事選で小池支持を表明していますが、高橋は埼玉県教育委員に指名される2004年ごろまで「つくる会」副会長として教科書の監修に関与していました。この「つくる会」は、2013年に漫画「はだしのゲン」について図書館や学校からの撤去を各所に要請していた凶悪な表現規制団体です。政治的理由による撤去要請ですが、要請を受けた教育委員会が「性的な乱暴シーンが小中学生には過激」という理由をこじつけて撤去に応じたことも問題になりました。
本会議で全会一致で不採択となったものの、その後市教委が漫画の内容を改めて確認した結果、「首を切ったり、女性への性的な乱暴シーンが小中学生には過激」と判断し、その月の校長会でゲンを閉架措置とし、できるだけ貸し出さないよう口頭で求めたとのことです。それにより、市内の小中学校49校のうちゲンを全巻保有していた39校全てが閉架措置を取ったとのことです。
(2015.08.06 はだしのゲン図書館撤去問題はそれからどうなったのか Timesteps)
 新しい歴史教科書をつくる会(杉原誠四郎会長)は11日、漫画「はだしのゲン」の内容が皇室や国歌を否定するもので、学校教育法の趣旨に反しているなどとして、「ゲン」を教育現場から撤去することを求める要請書を下村博文文部科学相あてに提出した。
(2013.09.11 産経新聞)

 高橋史朗は、育鵬社のデタラメな教科書を執筆している「日本教育再生機構」の理事でもあります。そして自民党の都政で、東京都教育委員会はこの育鵬社の教科書を採択しています。
育鵬社の教科書といえば今やトンデモなデマとして広く認知されている「江戸しぐさ」を掲載していたことで非常に有名。また、アメリカ合衆国の反進化論団体らが唱えるインテリジェントデザイン説(ID説)の一種として知られる「サムシング・グレート」についてのコラムが掲載されていたことで「トンデモ科学が教科書に載せられている」として批判が巻き起こっていました。
(2015.07.23 BUZZAP!)

 高橋は親学関連の書籍などでも「江戸しぐさ(現実の江戸とは全く関係ない1970年代以降に作られたマナー集)」「サムシング・グレート(村上和雄が天理教の信仰を取り入れたインテリジェントデザイン説)」「ゲーム脳(ゲームや携帯電話を全否定する親学推進協会評議員・森昭雄の妄言)」を肯定的に紹介していますが、親学以前は著書で統一教会による純潔教育を擁護し、米キリスト教福音派の反中絶・反避妊カルト「Focus on the Family」による反コンドームデマを日本に拡散していたことでも知られています。つまり高橋たちが伝統的保守というイメージもインチキで、海外で新たに捏造されたニセ「伝統」デマまで持ち込み、日本の宗教に悪影響を与えているのです。
 日本大学の澤田昭夫教授によれば、安全セックス運動の裏にあるセックス産業の欺瞞をあばき、健全な家庭の復活を目指すアメリカの一大家庭運動「フォーカス・オン・ザ・ファミリー」が指摘するのは、発見できるコンドームの穴の大きさは一ミクロンであるが、エイズのウイルスはその一〇分の一で、人間の精子の約四五〇分の一しかないという事実である。
(1994 高橋史朗「間違いだらけの急進的性教育」P37-38)
「HIVはコンドームを通り抜ける」という噂は、アメリカの反避妊団体「AMERICAN LIFE LEAGUE」が広めたガセネタが元になっています。キリスト教原理主義者は避妊用品の販売・配布を妨害するためにコンドーム否定論を広めているのです。
(→HIV感染予防についてよくある誤解)

 また、2009年の衆院選で小池百合子のために小選挙区候補を出馬辞退させて共闘した幸福実現党など、日本会議以外の宗教団体も小池の選挙を支援しているようです。都知事選には幸福実現党の独自候補も出馬していますが、野口健などの信者小池支持に回っています。
 幸福実現党は「表現の自由を守る」などと発言することもありますが、幸福の科学は1991年に「ヘア・ヌードは日本全土を色情地獄化する試み」「自由には方向性が必要」と主張する「ストップ・ザ・ヘアヌード」デモを行い、日比谷公園の野外ステージで取材に来たテレビカメラに向けてヘアヌード雑誌を燃やすパフォーマンスを行ったことがある凶悪な表現規制団体です。宗教上の都合で「表現の自由」を制限するために権力を持とうとしているようなものです。

 このように、日本会議以外の宗教組織も含めて、小池の宗教的政策に影響を与えている支持層には表現規制推進派が多いので、小池の選対役員が発表したコメント「目をそむけたくなるものも中にはあり、そこをどのように線引きするか議論が必要」も、不明確な基準による表現規制を推進する宗教議員の常套句「行き過ぎた表現は規制すべき」と同じ意味にしか解釈できないのです。
 そして、政治資金に関して舛添要一や猪瀬直樹より疑惑が多い小池では、もし都知事に当選してもまた前任者たちと同じような理由により辞職する可能性が高いという指摘もあります。

・関連
→ 自然災害と宗教を選挙に利用する石原都知事の「津波は天罰」発言
→ 差別発言をくりかえす石原都知事に媚びる週刊誌
→ コンドーム普及を妨害する偏見
→ HIV感染予防についてよくある誤解
→ 茨城県立高校の必修道徳テキストでカルト宗教信者のニセ科学本を引用
→ 集票に利用される宗教と政治家を利用する宗教

2016.04.13 Wednesday

赤枝恒雄議員は以前から問題発言の多い自己責任論者(過去発言まとめ)

この記事の後半に、赤枝議員の過去の問題発言を列挙しています
この記事の末尾に、2017年国会での問題発言を追記しました

 自民党の赤枝恒雄議員(衆院比例東京)が、子どもの貧困対策を推進する議連の会合で、奨学金制度の拡充を求める要請に対して「進学しても女の子はキャバクラに行く」「高校も大学もみんなが援助するのは間違っている」などと発言した件が問題になっています。現在の日本では進学や就職に恵まれるのは高所得家庭の子供ばかり、貧困家庭の子供は進学も就職も困難で、バイトしながら進学するにも平均時給に対して学費や生活費の負担が大きすぎるため、貧困学生がキャバクラなどの稼げそうな業種に流れてバイトと学業の両立に苦しむことが多いのが実態なのに、貧困対策の論点を女性の進学意欲など自己責任論にすりかえて、現実にいますぐ必要な学費援助を否定する赤枝発言は、貧困差別と女性差別と職業差別を含む内容で悪質です。
 ネット上では、文脈がおかしいことを「発言の一部が切り取られているだけ」などと強引に擁護する意見も散見されますが、これは赤枝議員がいつも強引に論点をすり替えるからで、後に公開された発言全文の記事を見ても、話はかみ合ってません。赤枝医師は議員になる前から自己責任論者としてマスコミ取材に答えたり、参考人として議会で青少年厳罰化を主張していた人物で、過去の青少年条例改正案の会議などでも、赤枝参考人は改正内容と無関係な、統計を無視した極端な事例を持ち出し、議論をすりかえる手口を多用していました。これは議員個人の問題だけではなく、青少年規制に都合のいい都市伝説や、統計を無視したデタラメな数字を議会に持ち込む道具として、自己責任論者の赤枝医師が利用されていた感もあります。
 当選後の議会での感染症自己責任論や青少年厳罰化発言も、今回の議連会合での発言も、以前と同じ差別的な自己責任論の延長です。もともと根拠のない差別発言を繰り返していた人物を自民党が公認し、これまでは議会で問題発言をしても放置されてきただけです。
 自民党の赤枝恒雄衆院議員(72)=比例東京=が12日、子どもの貧困対策を推進する超党派による議員連盟の会合で、貧困の背景について「親に言われて仕方なく進学しても女の子はキャバクラに行く」などと述べた。会合では支援団体の代表や児童養護施設出身の大学生が奨学金制度の拡充を求め、それに対する質疑応答の冒頭で発言した。
 要望に対し、赤枝氏は「がっかりした。高校や大学は自分の責任で行くものだ」という趣旨の主張をした。その上で「とりあえず中学を卒業した子どもたちは仕方なく親が行けってんで通信(課程)に行き、やっぱりだめで女の子はキャバクラ行ったりとか」と話し、望まない妊娠をして離婚し、元夫側から養育費を受けられず貧困になると持論を展開。義務教育について「しっかりやれば貧困はありえないと言いたいくらい大事」と強調した。
 赤枝氏は2012年に比例単独で初当選し、現在2期目。産婦人科医で、会合終了後の取材に「街角相談室でいろんな子どもの話を聞いてきた。子どもが十分教育を終えるまでは国が手厚く援助しないといけないが、高校も大学もみんなが援助するのは間違っている」と説明した。
(2016.04.12 朝日新聞)
 12日に開かれた子どもの貧困対策を推進する超党派議員連盟の会合で、赤枝恒雄氏が質疑応答の冒頭に発言した主な内容は以下の通り。

 日の当たらない分野にご支援を頂きありがとうございます。しかし、今日も裏切られた思いでがっかりしています。当然、義務教育が出てくると思ったら、高校や大学の話、これは自立して頑張らないといけないことをそこまで色々言うより、まず義務教育はどうなっているか考えてください。
 今の義務教育でいいんですか。これをもう1回考えてください。中学校の教科書、見たこともちろんあるでしょう。私は中学校の教科書見たら、これがわかっていれば実務社会の、英語もそうですけど、これがわかってれば、絶対社会に通用するんですよ。
 それが中途半端に15歳が来たら高校に行けます、卒業します、できますよ、とんでもないことですよ。世界ではこんな、こういう国もあることはありますが、やはり中学校の卒業試験というのがあるわけです。オランダもそうですよ。スペインもフランスもそうでしょう。卒業試験があるわけですよ。
 日本は卒業試験がないんで、なんで卒業試験ないんだって文科省(文部科学省)に聞いたら、いや、日本でそんなことしたらどんどん義務教育のお金が高くなるからねって言われて、よくわかんないこと言われましたけど、とりあえず中学校卒業した子どもたちはね、中途半端に出てその後に、仕方なく親が行けってんで通信に行ったりしながら、やっぱりだめで女の子はキャバクラ行ったりとかですね、実際望まない妊娠が結局いま中学校、それから40歳以上の、まあ40歳以上は望んでるんですけど、出産増えているのはその世代なんですね。20歳、30歳は全然産みませんから。
 そういうことで望まない妊娠するってのは、できちゃった婚は10代で80%ができちゃった婚なんです。本人の、ある程度計画性のない結婚、80%ですよ。それから離婚する、若くて、離婚したひとり親になる原因は離婚ですから。ほとんどは。その離婚した後のご主人からの仕送りがある人は本当に一部なんですよ。だからそういうことで貧困になっていく。
 ですから中学までの義務教育をしっかりとですね、命がけで我々国がですね、やって、進級させない、落第もあり、卒業試験やるという風にきちんとやればですね、社会で通用するんですよ。そこまで国は責任を持ってやって、後はもう本人が社会ですから。もう。高校行く、それはもう立派に働く人、色んな人いるわけで社会ですから、そこになったらもう後は自立する支援だけですよ。必要なのは。
 本当にそういうところはですね、義務教育をとにかく、これからもう本当に厳しくですね、義務教育をしっかりやれば貧困はありませんと、僕はそこまで言いたいくらいに、義務教育って大事だと思いますので、その辺はいかがでしょうか。
(2016.04.13 朝日新聞)
 この発言には何重にも呆れる。
 奨学金制度を要望した大学生がいた児童養護施設は、建前としては20歳まで居られることになっているが、現実には高校を卒業したら退去しなければならない。高校に進学しなければ、中学卒業と同時に児童養護施設も卒業である。全高卒者の大学進学率が半数を超えているのに対し、大学進学率は低く、児童養護施で高校に通う子で2割程度、児童養護施設児全体では1割強にすぎない。高卒の就職率が16.9パーセントであるのに対し、養護施設にいた子どもの高校就職率は、7割近くである*。
 一般家庭に育つ子どもですら、半数以上が奨学金を利用して大学進学している状況である。児童擁護施設の子どもたちが進学するための費用は、奨学金がなければ、どこから出てくるというのだろうか。かつては国立大学は学費が安く、授業料免除も容易であった。しかし国立大学の学費ですら年間54万円程度であり、将来的には93万円程度になると文部科学省が試算している(国立大授業料、54万円が93万円に 2031年度試算)。国立大学への運営交付金を減らすということは、困窮者の学費の免除もままならなくなるということだ。児童養護施で育つ子どもには、さらに厳しい状況が待ち受けていることは間違いない。
(2016.04.13 千田有紀)

ここからは、過去の赤枝議員の問題発言です
○赤枝委員
 それで、私のところでも、中学生、小学生の、援助交際をして性病を繰り返す女の子がいます。まさに小学生です。小学生でズックを履いてきても、自分の好きなタレントの追っかけをやるためにお金が欲しくて、援助交際をする。それで、病気にかかる。
……
 その辺のところで、エイズ、性感染症、これは自分自身が悪いんだろう、自己責任という考え方は持ち込めないのかなというのを大臣にお聞きしたいと思います。
(2013.03.19 第183回国会 厚生労働委員会)
 小学生援交の都市伝説は赤枝医師が議員になる前から繰り返し話している持ちネタですが、元ネタは患者が夫から聞いた都市伝説だったはずが、次の取材では自分が小学生を診察した話になっていて、信憑性に欠けます。感染症発生動向調査では、15歳未満のクラミジア感染はごく少数で、増加傾向はありません。
 日本でも海外でも夫婦間で性病が感染する割合は高く、過剰な自己責任論は性感染症への偏見を煽るだけ。自己負担が高額だと検査や適切な治療を受けない人が増え、感染拡大を招くので、感染症対策には国による検査・治療の援助が必要。
 海外ではジェネリック薬の導入によりHIV治療費は「1人当たり年間100米ドル」に低下しています。もし本当に将来的なHIV治療費を問題視するなら、安価なジェネリック薬の導入が求められるはずですが、赤枝議員は高額な治療費を据え置いたまま患者の全額自己負担にさせる保険適用除外を要望しています。
○赤枝委員
ワクチンについて父兄の負担を、本当に五百円でも僕はいいと思うんです、千円でもいいと思うんです、将来考えていないですか。場所によっては、何か地方の自治体が補填をして、その補填の額によって無料のところとちょっと有料のところがあるみたいですけれども、つまり、無料で提供するというのはやめて、必ず負担を、父兄の負担を千円でもつけるということは考えられませんか。
(2014.04.04 第186回国会 厚生労働委員会)
 不定期な街角エイズ検査で知られていた赤枝議員ですが、感染症の予防や治療の費用は患者に自己責任で負担させろという貧困層切り捨て政策が持論。性教育の重要性に言及しながら性教育の後退につながる青少年条例厳罰化を推進するなど、行動に矛盾が多い。
 子宮頸がんワクチン有料化論は純潔教育を推進する統一教会関連団体の主張と同じ。
○赤枝委員
 私は、昔、石原都知事がいるときに、呼ばれたときに、一緒に、中学生のセックス禁止令、それから漫画本の禁止というのをやっていたわけですが、そのころから、法整備ができないものかと思って、ここに、資料二ページ目、性の自己決定権、この性の自己決定権は、別の表現をすると、性的同意年齢とも言われるわけです。
 これは、見ていただければ、日本は十三歳になっているわけです。つまり、十三歳まではセックスしちゃいけないよ、同意の上でもいけないよ、それはレイプだよということです、これは刑法ですから。
(2014.04.03 第186回国会 青少年問題に関する特別委員会 第3号)
 赤枝議員の主張している性的同意年齢引き上げ論は、高校生同士の恋愛でキスしただけでも通報されると強制わいせつ罪になる厳罰化案。恋愛を犯罪扱いされて苦しむ学生が増え、性教育の縮小にもつながる愚策。

ここからは、赤枝医師が議員になる前の問題発言です
○参考人(赤枝恒雄君)
 今の日本の状況の中でピルを使うことは私は絶対的に反対で、まず、結婚するまではコンドームしかないと。
(2005.05.11 第162回国会 少子高齢社会に関する調査会)
 これは2002年に中学生向け性教育小冊子を回収させて以降の性教育を後退させた、「具体的な性教育は結婚してから」という主張の山谷えり子議員による統一教会の純潔教育論を擁護するため、2005年の国会で参考人として発言した赤枝医師のピル否定論。赤枝医師は表面上は性感染症教育の重要性には言及しているが、避妊薬の存在すら教えない方向の山谷議員による性教育縮小論に同調する文脈の発言。
〇山口委員 大変貴重なお時間を、お越しをいただきまして、ありがとうございます。
 赤枝先生に幾つか教えていただきたい、お伺いしたいことがございます。
 まず、今、先生から現状のお話を聞いていて大変驚いたことが多々あるわけでありますが、私の知り得る限りでは、例えば厚生労働省の定点観測、定点報告によりますと、性感染症等というのはふえていないというように、その報告の中では読んでとれるわけでありますが、その実態というものはいかがなものなんでしょうか。先生に伺いたいと思います。
〇赤枝参考人 厚生労働省が、決まった病院に、毎月性感染症の報告をしろということをやっている。これはインフルエンザもみんなすべてそうですね。感染症は定点観測というのをやるわけです。
 ところがインフルエンザと違って、この産婦人科領域に関しては、子どもが親から保険証を借りられないという問題があるわけですね。それからお金がないという問題がありますね。こういうところで、定点観測になっているきちんとした病院に、子どもたちがやっぱり行けないという問題があるんですね。
 だから、我々がまち角で無料でやった調査によると、こういうことになっている。
 それから厚生労働省の研究班が、この一番最後のページのように、無料であなた方のおしっこを調べてあげるよ、おしっこを出しなさいという無料の検診とかでやると、きちんとした数字は出るんだけれども、定点観測では、確かに委員おっしゃるように、本当に余りふえていないんですね。横ばいか、疾患によっては減っているようなものもあるぐらいなので、だから性感染症に関しては、定点報告で議論するというのは余り意味がないような気がします。
(2010.05.18 東京都議会総務委員会)
 定点観測になっている港区内の拠点病院では誰でも匿名・無料で性病検査が受けられる制度が長く続いてるので、赤枝医師が行った調査より受検者数が多く、極端な結果にはなりません。また赤枝医師はテレビ出演時も、不定期にやっていた街角検査だけを紹介させて誇張した数字を示し、港区で普及している無料性病検査事業のことは説明しませんが、受検者数の多い厚労省の統計より、同じ港区内で不定期にしかやってなかった街角検査のほうが信頼できるという説には無理があります。
クラミジアは薬で治療します。従来の薬は1日2〜3回2週間忘れずに飲み続けなければなりません。
それが今年5月、4粒を1回飲むだけで完治する画期的な薬が認可され、医師の間で波紋を広げています。
「性感染症が手軽に治ると思われたくないので新薬を使いたくない」 (赤枝医師)
一方、飲み忘れによる再発を防げると積極的に新薬を勧める医師もいます。地域医療振興協会ヘルスプロモーションセンターの岩室紳也医師は「きちっと医者が啓発的な教育まですれば、薬の飲み方が変わっても心配はないと思います」と話します。
当の感染者たちは圧倒的に新薬を支持しています。
(2004.07.22 TBS News i 2ch.net)
 テレビ番組制作側は「従来の薬」メーカーに配慮して両論併記コメントを入れたかったのかもしれないが、クラミジアは自覚症状の軽い感染者の割合が多く、うっかり投薬中断した感染者から感染拡大する問題があるので、赤枝医師の自己責任論は不適切。治療終了前に投薬中断した感染者が原因で薬剤耐性菌が広まり、治りにくい感染者が増える問題もあった。
赤枝恒雄医師「お年寄りも75歳以上は後期高齢制度で切られましたけども、性病も必ず国は切ってきます。もう医療費がこれだけかかってくると、自己責任でしょうと、切り捨てになりますよ。はい、切ります。はい。」
(2009.05.25 テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」 赤枝恒雄)
→ TVタックルで性感染症自己責任論
 赤枝恒雄医師は議員になる前から、性感染症を保険適用除外して全額自己負担化する自己責任論が持論で、収入の少ない患者への配慮がない。「治療に来ない患者」を問題にしながら、そういう患者が増える制度を求めているマッチポンプ型の人物。
 それなりの評価を得て五年くらいたったころ、若いカップルが「水中出産したい」とやってきた。私は初めてのことで驚いた。が、患者さんのニーズを第一にしていたので積極的に取り組んだ。
……
 一方、水中出産では、部屋を暗くして波の音をBGMにして、できるだけ機械音を出さない。もちろん、においの強い消毒剤は使わない。狭い産道の中から一気に空中に出るよりは、水中を通ることで自然な減圧効果が得られる。
(2006.05.18 赤枝恒雄 産経新聞)
 水中出産は感染症の危険性が高い。性感染症の感染拡大を過大視する赤枝医師が、出産時の感染症を軽視するのはおかしい。
 産経新聞「子守唄」連載は、赤枝恒雄が理事を務めていた「日本子守唄協会」のタイアップ記事。統一教会の純潔教育を推進する山谷えり子が関連議員連盟の幹事長を務める日本子守唄協会は、統一教会の純潔教育を推進する親学推進協会理事長高橋史朗による親学布教イベントも主催していたカルト団体。

ここからは、赤枝医師の著書のデマ問題と、赤枝医師のデマを引用した他の議員の問題発言です
内容(「BOOK」データベースより)
死を目前にした少女が、心の拠り所の「先生」に宛てた一通の遺書。胸がヒリヒリする、儚く、せつない19年の生涯。初めて本気で人を好きになったとき、自分がエイズ感染していると知った―。援交、親との確執、中絶、エイズ…東京・六本木で開業する医師が見た、少女たちの壮絶な性の実態。
Amazon 赤枝恒雄「悲しいセックス : エイズで逝ったマヤに捧げる」
 赤枝議員の著書『悲しいセックス』は、20歳の誕生日を前にエイズで亡くなった少女からの手紙という設定の本で、実話だと宣伝されていますが、あとがきには、他人から聞いた噂話を1人の少女の話として再構成したものと記載されています(※日本の統計では、10代で死亡した女性HIV感染者・エイズ患者は実在しません)。治療費も保険証や医療費助成制度を利用しないで全額自己負担する(赤枝医師の持論を説明するための)設定で、別の著書では同じ女性が22歳で死んでいるなど話に一貫性がなく、読者に恐怖心や偏見を植え付けるための悪質な作り話としか思えません。
〇三十九番(中嶋義雄君) 知事は、今定例会の所信表明におきまして、エイズ問題に触れられました。
 かつて清水幾太郎氏は、古来からの天譴思想を紹介し、日本人にとって地震は世の混乱を正す天の譴責であったと書いたことがございます。それに倣っていえば、エイズこそまさに天譴であるのかもしれません。
 それはともかく、近年、エイズへの関心が低下しておりますが、知事が指摘するとおり、事態は深刻でございます。献血からエイズ感染が発見される割合は依然として高く、また、先進国の中でエイズ感染者の増加率が上昇している国は日本のみでございます。
 こうした指摘を通して、長年、エイズ問題の深刻さを訴え、ボランティアで無料相談やエイズ検査を行ってきたのが、赤枝六本木診療所の赤枝恒雄医師でございます。マスコミ等でも紹介され、ご存じの方も多いかもしれませんが、昨年、公明党の女性局が同医師を訪問し、私も二十一日の日曜日に訪ねてまいりました。赤枝医師から聞かされたエイズ問題の実態には、身の毛のよだつ思いがいたします。
 同医師によりますと、二十五歳以上のエイズ感染者はほとんどが男性であるのに対し、二十歳から二十四歳までは約六〇%が女性であり、十代ではそれが約七〇%に上るといいます。しかも、十代の女性の感染者の多くは中学生や高校生であり、いわゆる援助交際という名の売春行為でエイズに感染し、親に相談するわけにもいかず、したがって公的な助成等は一切受けられません。
(2003 東京都議会第3回定例会会議録)
 実際には、10代の日本人女性HIV感染者は数年に1人、10代の日本人女性エイズ患者は過去25年間で1人しかいない。つまり日本人の若い世代だけ女性感染者の割合が多い説はまったく根拠がない悪質なデマだが、赤枝医師は著書などで繰り返し同じデマを流布している。
 現実の東京都の実態を示す福祉保健局の資料とかけ離れた赤枝医師の言葉を引用して「エイズは天罰」という趣旨の差別発言につなげた中嶋都議を処分せず議員団長にしている公明党も悪質。

……
▼【2017年国会での問題発言を追記】
赤枝分科員
 それから「コドモのコドモ」という、これは小学生同士が、くっつけっこというのがはやった時期があるんですよ。くっつけっこをやったときに、やはりできちゃった。
 今言ったとおり、日本では合法ですよ、十四歳のセックスは。ところが、外国、八十九カ国は、十四歳の性行為はレイプ事件ですよ。ましてや小学生は。しかし、日本ではそれは認められていて、こういうメディアの番組の悪いのは、そういう、子供たちが性行為をして、結末はみんなハッピーエンドです。最初は親は反対していた、ずっと。おろしなさい。病院まで行った。だけれども、子供は逃げて帰ってきて、嫌だ、産みたい。親も反対していたけれども、産んだ。その後は、おじいちゃんもおばあちゃんも子供を愛してくれて、ハッピーエンド。
 僕は、こういう余り好ましくない行為自体がハッピーエンドで終わっているというのは、子供たちに対する影響も余りよくない。
……
 例えば、児童福祉法違反とかで刑がありますよと言われても、我々がやはり怖いのは、一般の我々パンピーにとってみたら、刑法なんですよ、刑法。
……
 レイプは、どうしてもやはり刑は十年以上は、二十年以上ぐらいの刑にしてもらって、絶対だめな行為だというふうにしてもらわないと、三年とか五年じゃまずいんじゃないんですか。そのところはぜひお願いをしたい。
(2017.02.22 第193回国会 予算委員会第三分科会)
 怖がらせる話しか認めない禁欲教育論者の赤枝議員が糾弾している漫画原作の実写映画「コドモのコドモ」は性表現のない性教育的な内容。刑法では犯罪全般の責任年齢が14歳と定められているので、性的同意年齢を引き上げると年齢の矛盾が生じ、同年代男女の同意による学生恋愛が、第三者の通報で強姦罪や強制わいせつ罪になってしまう。だから日本では成人による18歳未満に対する性行為のみを児童福祉法や青少年条例などで処罰する法制度になっていて、海外でも青少年の人権に配慮して同年代の青少年同士の恋愛は処罰しない法制度が一般的。赤枝議員の発言は嘘だらけで、しかも青少年同士の恋愛の強姦罪化と強姦罪全般の厳罰化を同時に提案していて青少年の人権への配慮がなく、宗教原理主義的で悪質。
……


・関連
→ 国連女性差別撤廃委員会による性的同意年齢・結婚可能年齢引き上げ論の問題点
→ ポーランドの「乱交ゲーム」というデマと日本の青少年厳罰論に共通する悪意
→ 赤枝医師の発言の信憑性
→ TVタックルで性感染症自己責任論

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