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2016.12.08 Thursday

パチンコ企業を営業時間や賭金の規制がないカジノに参入させるカジノ解禁は依存症を悪化させる

 自民・公明と維新が異例の短時間でカジノ解禁法案を成立させる国会運営を新聞各紙が批判する一方で、ネットではカジノ解禁を正当化したがる言説があふれていますが、悪質な嘘が多いです。

 まず、橋下徹などによる「既にパチンコや公営ギャンブルによるギャンブル依存症があるから同じ」説ですが、アメリカでギャンブル依存症を研究するマサチューセッツ工科大学のナターシャ・ダウ・シュール教授は、営業時間や賭金に制限がないカジノの連続性が依存症につながると指摘しています。終日ギャンブル場にいる常連客を見たことがある人なら想像がつくと思いますが、営業時間規制がないと依存症患者は持ち金がなくなるまで家に帰らず、問題は悪化します。IR法案は従来型のギャンブル営業規制に抜け穴を作り海外カジノ並みに24時間営業で青天井のカジノ営業を可能にする「国際競争力の高い」規制緩和が前提。パチンコ企業を営業時間や賭金の規制がないカジノに参入させるカジノ解禁は、依存症を悪化させる危険性が高く「包括的なギャンブル依存症対策」とは矛盾します。
“Another core aspect of the addictiveness is their continuous nature. You’re not interrupted by anything; you’re not waiting for the horses to run, you’re not waiting for the guy next to you to choose his card to put down; there’s no roulette wheel spinning. It’s just you and the machine. It’s a continuous flow without interruption,” Schull said.
(2011 Slot Machines: The Big Gamble CBS 60 Minutes)
第六条 政府は、特定複合観光施設区域が地域の特性を生かしつつ真に国際競争力の高い魅力ある観光地の形成の中核としての機能を備えたものとなるよう、必要な措置を講ずるものとする。
(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律)
確かに自助グループへの支援など依存症対策の強化は必要ですが、依存症が完治しない病気である(回復はするが、いったん依存症になったら脳の状態は戻らない)ことを踏まえると、依存症対策をすればカジノを作っていい、という主張は「消防車を増やすから火事を出してもいい」といったレベルの論理であり、まさにマッチポンプでしかありません。
(2016.12.06 稲葉剛)

 「カジノ反対派はパチンコ業界と癒着」説はまったく逆。海外カジノにも参入実績があるパチスロ大手ユニバーサル社からファミリー企業に毎月100万円のコンサルタント報酬を受け取っていた自民党の石原宏高議員のように、パチンコ企業と密接な関係にあるのはカジノ推進派議員のほうです。ユニバーサル以外のパチンコ大手セガサミーやダイナムもカジノ参入を公言。カジノを推進するIR議連の幹部はパチンコ業界団体の「政治分野アドバイザー」も務めています。収益悪化で衰退しているパチンコ業界が、大幅な規制緩和になるカジノ参入を狙っているだけで、カジノ推進派とパチンコ業界が対立してるわけではありません。パチンコ企業と密接なIR議連はカジノ解禁と同時にパチンコの換金も合法化していく方針だそうです。
 なんとも不思議な「コンサルティング契約書」である。
 平成23年6月1日に結ばれ、甲は石原宏高代議士の夫人が代表の有限会社IMS。乙は遊技機メーカー・ユニバーサルエンターテインメント(UE)の香港法人で、岡田和生UE社会長がサインをしている。
(2013.03.21 現代ビジネス 「比カジノ事業の疑惑が日本に飛び火!? 石原宏高代議士のファミリー企業に月100万円のコンサル料を支払ったUE社の思惑とは」 伊藤博敏)

 「カジノ法案に反対した野党はパチンコや公営ギャンブルに反対してない」説はデマで、少し検索しただけでも、赤字競輪場の廃止場外発売所パチンコの出店地域規制を厳格化などのギャンブル規制が提言されています。議会でパチンコや公営ギャンブル施設の乱立を容認してるのは自民党側です。
1980年代以降、各ギャンブルとも、売り上げが減り、赤字経営に陥るなど地方自治体の足かせになっているところも出てきました。政府はその売り上げを伸ばすために、「競輪・オートレース法改正案」(2002年)、「競馬法改正案」(04年)を出してきました。日本共産党は、この法案がギャンブル事業の業務を民間事業者に委託できるものであり、競馬で重勝式投票方法でのギャンブル性の拡大、学生の購入制限の解除などが盛り込まれていることから、反対しました。
(2007.02.24 しんぶん赤旗)

 「カジノは富裕層向け」「パチンコより健全」「カジノの入場年齢制限はパチンコより厳しい」説は嘘。現在の海外カジノで主流のビデオスロットは、1回に最大200ラインまで賭けられる機種や、オンラインで数百台を連動させる高額ジャックポットの広域型プログレッシブマシンなど、演出効果も射幸性も中毒性もパチスロ以上で、1セントから賭けられるペニースロット。48州でカジノが解禁されているアメリカでは、カジノ区域外の空港やコンビニや飲食店にまでスロットマシンが並んでいて、出店地域制限も入場年齢制限も機能していません。日本のパチンコ店駐車場で乳幼児の死亡事故が多発した原因は、風営法により入場年齢制限が厳格化され、地方によってはベビーカーの入店まで禁止する警察指導が行われたからで、入場年齢制限はパチンコのほうが厳しそうです。つまり海外カジノ並みの「国際競争力の高い」IR施設を運営する場合、パチンコより入場年齢制限が緩和されてしまいます。
日本のパチスロにはない多彩なゲーム性が楽しく、なかなか飽きることがない。ラスベガスでは空港、コンビニ、スーパーなど、街中のいたるところにスロットマシンが置いてあるが、人気の理由はやはり、そのゲーム性の高さだろう。
(2014.07.16 SPA!)
ペニースロット なぜ楽しいのか。それは的中パターンや的中ラインが増え(たとえば右写真の場合、的中ラインが20ある)、的中率が劇的に高まるからだ。簡単に言ってしまえば、「回すたびに毎回何かが当たりそう」といった楽しい気分でプレーできるというわけだ。
 毎回当たっていたのではカジノ側が儲からないような気もするが、そんな心配は無用だ。じつはペニースロットといっても、1セントだけ賭けてプレーしている者などほとんどいない。一度に数十枚賭けるのが常識で、メーカー側の話によると、統計では平均約70枚賭けているという。そして各当たりの配当は必ずしも賭けた枚数よりも多いとは限らないのでカジノ側は損をしないというわけだ。
(2005.08.10 週刊ラスベガスニュース)

 「カジノは外国人観光客向け」説は嘘で、カジノを推進するIR議連はすでに「外国人限定」案を「カジノ施設の運営が成り立たない」として撤回しました。当初「外国人専用」としてカジノ合法化したベトナム韓国でも、後に自国民も入場可能に法改正しているように、外国人観光客だけでは経営が成り立たない施設が大半なのが現実。48州でカジノが解禁されているアメリカでも地元住民向けのサービスに注力するローカルカジノが増えています。
 外国人への入場限定案については、維新の党などに「カジノ施設の運営が成り立たない」などの慎重論があった。
(2014.10.10 日本経済新聞)

 「カジノで税収が増える」「成長戦略の目玉になる」説には無理がある。現在パチンコの貸玉料金には消費税がかかっていて、不正カード防止のため警察OB天下り会社がカード売上や利用状況をオンライン監視しているので、賭金あたりの税率は高く脱税もバレやすく、店が赤字でも消費税の納付義務があります。ところが「国際競争力の高い」海外並みルールのカジノでは客への還元率が95%以上なので、パチンコ企業と客をカジノに移行させると賭金あたりの税率は激減。IR施設の維持にも費用がかかるので、海外でも集客が減り赤字に転落しているIR施設が多く、長期的な税収増は困難。カジノ移行するパチンコ企業への減税になるだけ。
 公営ギャンブルと比較しても、たとえば競輪場は賭金の20%以上が運営自治体の取り分なのに、運営赤字で撤退する自治体が多いのが現状。運営の取り分が少ないカジノで税収が増えるとは考えにくい。
 シンガポールは、カジノ付き統合リゾート(IR)が売り上げを落としている。同国でIR「リゾーツ・ワールド・セントーサ」を運営するゲンティン・シンガポールは、2015年10〜12月期の最終損益が780万シンガポール(S)ドル(約6億3600万円)の損失となり、前年同期の8920万Sドルの黒字から赤字に転落した。富裕層客の減少などが要因だ。
(2016.03.04 SankeiBiz)

 「日本のパチンコ・公営ギャンブル売上は海外カジノ売上より多い」説は比較する数字の間違い。パチンコや競馬競輪競艇の売上は「賭金の総額」ですが、海外カジノの売上として公開されている数字は「賭金の総額から客への配当金を差引いた収益」。海外カジノは客への還元率が95%以上なので、数字が低く見えるだけ。
・カジノ売上高:カジノで顧客の賭け金の総額から、顧客に支払った額を差し引いたものを基本とし、金額を調整したもの。各国の会計基準や各社でそれぞれ「Casino Revenue」、「Gross Gaming Revenue」、「Gross Gaming Win」、「Operating Revenue」等の用語が用いられ調整項目が異なるが、本レポートにおいては便宜的に「カジノ売上高」と定義する。
(平成26年6月 東京都 IR(統合型リゾート)に関する調査業務委託報告書)

 「カジノ運営はアメリカのカジノ大手」という話は最初だけで、最後まで面倒を見てくれるわけではありません。アメリカのカジノ大手MGMリゾーツとラスベガス・サンズはベトナム進出時、カジノを「外国人専用」とする法規制が経営に不利と判断、開業直前で撤退した前科があり、儲からないと判断したら即撤退します。カジノも日本の公営ギャンブル場と同様に長期的には収益が悪化する例が多いのですが、もしアメリカのカジノ大手が日本から撤退した場合、日本でカジノを運営するのはパチンコ企業ばかりになりそうです。
アメリカのカジノ大手ラスベガス・サンズも、ベトナムでの計画が頓挫した。これらは、ベトナム国内の住民にカジノで遊ぶことが認められそうになく、中国からの旅行客だけに頼ることは経営に不利だと判断したためだという。
(2013.12.19 NewSphere 「建てれば客が来る」アジアのカジノ建設ブームに海外紙が警鐘)

 「カジノはIR地域にしか設置されない」条文も信用できません。競馬なども合法化当初は地域限定でしたが全国に拡大、場外発売所やネット販売も解禁されました。しかも競艇では、法律上の明文規定がなかったのに監督官庁が全国に場外発売所を認可していた前例があります。名古屋などで住民が設置に反対する行政訴訟を起こしましたが、法律にない場外発売所も「他の公営ギャンブルで前例があるから」と裁判所が認める判例を出してしまいました。この判例に従うと、カジノも「他の公営ギャンブルで前例があるから」と、全国的な場外カジノやオンラインカジノを監督官庁の認可だけで解禁される可能性があります。日本のギャンブルは監督官庁の利権になっていて、事業全体の売上低迷が問題になると安易な規制緩和が強引に行われる傾向があるので要注意です。
このように,自転車競技及び小型自動車競走においては,法律の明文において場外発売場の設置が認められているのであるから,同種の公営競技で共通の構造を有する競走法や競馬法が,場外発売場の設置を認めない趣旨で立法されたものと解することには合理的な理由がなく,そのように解すべきものとは認められない。
(平成18年7月20日 名古屋地方裁判所民事第9部)

…………
【追記】

 「依存症患者のギャンブル利用をマイナンバーで制限」案は悪用される危険性が高いです。競馬など既存のギャンブルでも一時的に設定された高額入場料や入場制限が緩和されてきた歴史があります。カジノ法案を通過させる言い訳の依存症対策も数年後にはギャンブル依存症とは無関係なゲーム規制だけの話に矮小化され、マイナンバーはギャンブル施設の集客目的にだけ悪用される事態になりかねません。アメリカの地元民向けローカルカジノでもリピーターを囲い込むために様々な工夫が行われています。
 具体案としてあがっているのがマイナンバーを活用して入場回数を管理する方法。過去に依存症と診断されたことがある人や、依存症の疑いがある人に対し、入場回数を制限したり、入場を禁止したりする制度を検討します。上限回数などは与党協議で詰めるとのこと。
 この方針では「入場回数の制限や禁止に当たるかどうかを調べるために、全入場者がマイナンバーを提示」しなくてはならないことになります。
 つまり、自らの社会保障や税番号の制度である「絶対他人に知られてはいけない」はずのマイナンバーを持ち歩き、カジノの入口で提示するというまるで冗談のような事態になってしまうのです。
(2016.12.19 BUZZAP!)
 統計によるとラスベガスのカジノの売り上げの3分の1は地元民、3分の1が車で4〜5時間で来ることができる南カリフォルニア(ロスアンゼルス、サンディエゴ地区)からの来訪者、そして残りの3分の1がニューヨークやシカゴなどの全米各地および世界各国から航空機を使ってやって来る観光客によって支えられている。
(1998.09.16 週刊ラスベガスニュース)
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2017.06.19 Monday

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