2016.04.13 Wednesday

赤枝恒雄議員は以前から問題発言の多い自己責任論者(過去発言まとめ)

この記事の後半に、赤枝議員の過去の問題発言を列挙しています
この記事の末尾に、2017年国会での問題発言を追記しました

 自民党の赤枝恒雄議員(衆院比例東京)が、子どもの貧困対策を推進する議連の会合で、奨学金制度の拡充を求める要請に対して「進学しても女の子はキャバクラに行く」「高校も大学もみんなが援助するのは間違っている」などと発言した件が問題になっています。現在の日本では進学や就職に恵まれるのは高所得家庭の子供ばかり、貧困家庭の子供は進学も就職も困難で、バイトしながら進学するにも平均時給に対して学費や生活費の負担が大きすぎるため、貧困学生がキャバクラなどの稼げそうな業種に流れてバイトと学業の両立に苦しむことが多いのが実態なのに、貧困対策の論点を女性の進学意欲など自己責任論にすりかえて、現実にいますぐ必要な学費援助を否定する赤枝発言は、貧困差別と女性差別と職業差別を含む内容で悪質です。
 ネット上では、文脈がおかしいことを「発言の一部が切り取られているだけ」などと強引に擁護する意見も散見されますが、これは赤枝議員がいつも強引に論点をすり替えるからで、後に公開された発言全文の記事を見ても、話はかみ合ってません。赤枝医師は議員になる前から自己責任論者としてマスコミ取材に答えたり、参考人として議会で青少年厳罰化を主張していた人物で、過去の青少年条例改正案の会議などでも、赤枝参考人は改正内容と無関係な、統計を無視した極端な事例を持ち出し、議論をすりかえる手口を多用していました。これは議員個人の問題だけではなく、青少年規制に都合のいい都市伝説や、統計を無視したデタラメな数字を議会に持ち込む道具として、自己責任論者の赤枝医師が利用されていた感もあります。
 当選後の議会での感染症自己責任論や青少年厳罰化発言も、今回の議連会合での発言も、以前と同じ差別的な自己責任論の延長です。もともと根拠のない差別発言を繰り返していた人物を自民党が公認し、これまでは議会で問題発言をしても放置されてきただけです。
 自民党の赤枝恒雄衆院議員(72)=比例東京=が12日、子どもの貧困対策を推進する超党派による議員連盟の会合で、貧困の背景について「親に言われて仕方なく進学しても女の子はキャバクラに行く」などと述べた。会合では支援団体の代表や児童養護施設出身の大学生が奨学金制度の拡充を求め、それに対する質疑応答の冒頭で発言した。
 要望に対し、赤枝氏は「がっかりした。高校や大学は自分の責任で行くものだ」という趣旨の主張をした。その上で「とりあえず中学を卒業した子どもたちは仕方なく親が行けってんで通信(課程)に行き、やっぱりだめで女の子はキャバクラ行ったりとか」と話し、望まない妊娠をして離婚し、元夫側から養育費を受けられず貧困になると持論を展開。義務教育について「しっかりやれば貧困はありえないと言いたいくらい大事」と強調した。
 赤枝氏は2012年に比例単独で初当選し、現在2期目。産婦人科医で、会合終了後の取材に「街角相談室でいろんな子どもの話を聞いてきた。子どもが十分教育を終えるまでは国が手厚く援助しないといけないが、高校も大学もみんなが援助するのは間違っている」と説明した。
(2016.04.12 朝日新聞)
 12日に開かれた子どもの貧困対策を推進する超党派議員連盟の会合で、赤枝恒雄氏が質疑応答の冒頭に発言した主な内容は以下の通り。

 日の当たらない分野にご支援を頂きありがとうございます。しかし、今日も裏切られた思いでがっかりしています。当然、義務教育が出てくると思ったら、高校や大学の話、これは自立して頑張らないといけないことをそこまで色々言うより、まず義務教育はどうなっているか考えてください。
 今の義務教育でいいんですか。これをもう1回考えてください。中学校の教科書、見たこともちろんあるでしょう。私は中学校の教科書見たら、これがわかっていれば実務社会の、英語もそうですけど、これがわかってれば、絶対社会に通用するんですよ。
 それが中途半端に15歳が来たら高校に行けます、卒業します、できますよ、とんでもないことですよ。世界ではこんな、こういう国もあることはありますが、やはり中学校の卒業試験というのがあるわけです。オランダもそうですよ。スペインもフランスもそうでしょう。卒業試験があるわけですよ。
 日本は卒業試験がないんで、なんで卒業試験ないんだって文科省(文部科学省)に聞いたら、いや、日本でそんなことしたらどんどん義務教育のお金が高くなるからねって言われて、よくわかんないこと言われましたけど、とりあえず中学校卒業した子どもたちはね、中途半端に出てその後に、仕方なく親が行けってんで通信に行ったりしながら、やっぱりだめで女の子はキャバクラ行ったりとかですね、実際望まない妊娠が結局いま中学校、それから40歳以上の、まあ40歳以上は望んでるんですけど、出産増えているのはその世代なんですね。20歳、30歳は全然産みませんから。
 そういうことで望まない妊娠するってのは、できちゃった婚は10代で80%ができちゃった婚なんです。本人の、ある程度計画性のない結婚、80%ですよ。それから離婚する、若くて、離婚したひとり親になる原因は離婚ですから。ほとんどは。その離婚した後のご主人からの仕送りがある人は本当に一部なんですよ。だからそういうことで貧困になっていく。
 ですから中学までの義務教育をしっかりとですね、命がけで我々国がですね、やって、進級させない、落第もあり、卒業試験やるという風にきちんとやればですね、社会で通用するんですよ。そこまで国は責任を持ってやって、後はもう本人が社会ですから。もう。高校行く、それはもう立派に働く人、色んな人いるわけで社会ですから、そこになったらもう後は自立する支援だけですよ。必要なのは。
 本当にそういうところはですね、義務教育をとにかく、これからもう本当に厳しくですね、義務教育をしっかりやれば貧困はありませんと、僕はそこまで言いたいくらいに、義務教育って大事だと思いますので、その辺はいかがでしょうか。
(2016.04.13 朝日新聞)
 この発言には何重にも呆れる。
 奨学金制度を要望した大学生がいた児童養護施設は、建前としては20歳まで居られることになっているが、現実には高校を卒業したら退去しなければならない。高校に進学しなければ、中学卒業と同時に児童養護施設も卒業である。全高卒者の大学進学率が半数を超えているのに対し、大学進学率は低く、児童養護施で高校に通う子で2割程度、児童養護施設児全体では1割強にすぎない。高卒の就職率が16.9パーセントであるのに対し、養護施設にいた子どもの高校就職率は、7割近くである*。
 一般家庭に育つ子どもですら、半数以上が奨学金を利用して大学進学している状況である。児童擁護施設の子どもたちが進学するための費用は、奨学金がなければ、どこから出てくるというのだろうか。かつては国立大学は学費が安く、授業料免除も容易であった。しかし国立大学の学費ですら年間54万円程度であり、将来的には93万円程度になると文部科学省が試算している(国立大授業料、54万円が93万円に 2031年度試算)。国立大学への運営交付金を減らすということは、困窮者の学費の免除もままならなくなるということだ。児童養護施で育つ子どもには、さらに厳しい状況が待ち受けていることは間違いない。
(2016.04.13 千田有紀)

ここからは、過去の赤枝議員の問題発言です
○赤枝委員
 それで、私のところでも、中学生、小学生の、援助交際をして性病を繰り返す女の子がいます。まさに小学生です。小学生でズックを履いてきても、自分の好きなタレントの追っかけをやるためにお金が欲しくて、援助交際をする。それで、病気にかかる。
……
 その辺のところで、エイズ、性感染症、これは自分自身が悪いんだろう、自己責任という考え方は持ち込めないのかなというのを大臣にお聞きしたいと思います。
(2013.03.19 第183回国会 厚生労働委員会)
 小学生援交の都市伝説は赤枝医師が議員になる前から繰り返し話している持ちネタですが、元ネタは患者が夫から聞いた都市伝説だったはずが、次の取材では自分が小学生を診察した話になっていて、信憑性に欠けます。感染症発生動向調査では、15歳未満のクラミジア感染はごく少数で、増加傾向はありません。
 日本でも海外でも夫婦間で性病が感染する割合は高く、過剰な自己責任論は性感染症への偏見を煽るだけ。自己負担が高額だと検査や適切な治療を受けない人が増え、感染拡大を招くので、感染症対策には国による検査・治療の援助が必要。
 海外ではジェネリック薬の導入によりHIV治療費は「1人当たり年間100米ドル」に低下しています。もし本当に将来的なHIV治療費を問題視するなら、安価なジェネリック薬の導入が求められるはずですが、赤枝議員は高額な治療費を据え置いたまま患者の全額自己負担にさせる保険適用除外を要望しています。
○赤枝委員
ワクチンについて父兄の負担を、本当に五百円でも僕はいいと思うんです、千円でもいいと思うんです、将来考えていないですか。場所によっては、何か地方の自治体が補填をして、その補填の額によって無料のところとちょっと有料のところがあるみたいですけれども、つまり、無料で提供するというのはやめて、必ず負担を、父兄の負担を千円でもつけるということは考えられませんか。
(2014.04.04 第186回国会 厚生労働委員会)
 不定期な街角エイズ検査で知られていた赤枝議員ですが、感染症の予防や治療の費用は患者に自己責任で負担させろという貧困層切り捨て政策が持論。性教育の重要性に言及しながら性教育の後退につながる青少年条例厳罰化を推進するなど、行動に矛盾が多い。
 子宮頸がんワクチン有料化論は純潔教育を推進する統一教会関連団体の主張と同じ。
○赤枝委員
 私は、昔、石原都知事がいるときに、呼ばれたときに、一緒に、中学生のセックス禁止令、それから漫画本の禁止というのをやっていたわけですが、そのころから、法整備ができないものかと思って、ここに、資料二ページ目、性の自己決定権、この性の自己決定権は、別の表現をすると、性的同意年齢とも言われるわけです。
 これは、見ていただければ、日本は十三歳になっているわけです。つまり、十三歳まではセックスしちゃいけないよ、同意の上でもいけないよ、それはレイプだよということです、これは刑法ですから。
(2014.04.03 第186回国会 青少年問題に関する特別委員会 第3号)
 赤枝議員の主張している性的同意年齢引き上げ論は、高校生同士の恋愛でキスしただけでも通報されると強制わいせつ罪になる厳罰化案。恋愛を犯罪扱いされて苦しむ学生が増え、性教育の縮小にもつながる愚策。

ここからは、赤枝医師が議員になる前の問題発言です
○参考人(赤枝恒雄君)
 今の日本の状況の中でピルを使うことは私は絶対的に反対で、まず、結婚するまではコンドームしかないと。
(2005.05.11 第162回国会 少子高齢社会に関する調査会)
 これは2002年に中学生向け性教育小冊子を回収させて以降の性教育を後退させた、「具体的な性教育は結婚してから」という主張の山谷えり子議員による統一教会の純潔教育論を擁護するため、2005年の国会で参考人として発言した赤枝医師のピル否定論。赤枝医師は表面上は性感染症教育の重要性には言及しているが、避妊薬の存在すら教えない方向の山谷議員による性教育縮小論に同調する文脈の発言。
〇山口委員 大変貴重なお時間を、お越しをいただきまして、ありがとうございます。
 赤枝先生に幾つか教えていただきたい、お伺いしたいことがございます。
 まず、今、先生から現状のお話を聞いていて大変驚いたことが多々あるわけでありますが、私の知り得る限りでは、例えば厚生労働省の定点観測、定点報告によりますと、性感染症等というのはふえていないというように、その報告の中では読んでとれるわけでありますが、その実態というものはいかがなものなんでしょうか。先生に伺いたいと思います。
〇赤枝参考人 厚生労働省が、決まった病院に、毎月性感染症の報告をしろということをやっている。これはインフルエンザもみんなすべてそうですね。感染症は定点観測というのをやるわけです。
 ところがインフルエンザと違って、この産婦人科領域に関しては、子どもが親から保険証を借りられないという問題があるわけですね。それからお金がないという問題がありますね。こういうところで、定点観測になっているきちんとした病院に、子どもたちがやっぱり行けないという問題があるんですね。
 だから、我々がまち角で無料でやった調査によると、こういうことになっている。
 それから厚生労働省の研究班が、この一番最後のページのように、無料であなた方のおしっこを調べてあげるよ、おしっこを出しなさいという無料の検診とかでやると、きちんとした数字は出るんだけれども、定点観測では、確かに委員おっしゃるように、本当に余りふえていないんですね。横ばいか、疾患によっては減っているようなものもあるぐらいなので、だから性感染症に関しては、定点報告で議論するというのは余り意味がないような気がします。
(2010.05.18 東京都議会総務委員会)
 定点観測になっている港区内の拠点病院では誰でも匿名・無料で性病検査が受けられる制度が長く続いてるので、赤枝医師が行った調査より受検者数が多く、極端な結果にはなりません。また赤枝医師はテレビ出演時も、不定期にやっていた街角検査だけを紹介させて誇張した数字を示し、港区で普及している無料性病検査事業のことは説明しませんが、受検者数の多い厚労省の統計より、同じ港区内で不定期にしかやってなかった街角検査のほうが信頼できるという説には無理があります。
クラミジアは薬で治療します。従来の薬は1日2〜3回2週間忘れずに飲み続けなければなりません。
それが今年5月、4粒を1回飲むだけで完治する画期的な薬が認可され、医師の間で波紋を広げています。
「性感染症が手軽に治ると思われたくないので新薬を使いたくない」 (赤枝医師)
一方、飲み忘れによる再発を防げると積極的に新薬を勧める医師もいます。地域医療振興協会ヘルスプロモーションセンターの岩室紳也医師は「きちっと医者が啓発的な教育まですれば、薬の飲み方が変わっても心配はないと思います」と話します。
当の感染者たちは圧倒的に新薬を支持しています。
(2004.07.22 TBS News i 2ch.net)
 テレビ番組制作側は「従来の薬」メーカーに配慮して両論併記コメントを入れたかったのかもしれないが、クラミジアは自覚症状の軽い感染者の割合が多く、うっかり投薬中断した感染者から感染拡大する問題があるので、赤枝医師の自己責任論は不適切。治療終了前に投薬中断した感染者が原因で薬剤耐性菌が広まり、治りにくい感染者が増える問題もあった。
赤枝恒雄医師「お年寄りも75歳以上は後期高齢制度で切られましたけども、性病も必ず国は切ってきます。もう医療費がこれだけかかってくると、自己責任でしょうと、切り捨てになりますよ。はい、切ります。はい。」
(2009.05.25 テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」 赤枝恒雄)
→ TVタックルで性感染症自己責任論
 赤枝恒雄医師は議員になる前から、性感染症を保険適用除外して全額自己負担化する自己責任論が持論で、収入の少ない患者への配慮がない。「治療に来ない患者」を問題にしながら、そういう患者が増える制度を求めているマッチポンプ型の人物。
 それなりの評価を得て五年くらいたったころ、若いカップルが「水中出産したい」とやってきた。私は初めてのことで驚いた。が、患者さんのニーズを第一にしていたので積極的に取り組んだ。
……
 一方、水中出産では、部屋を暗くして波の音をBGMにして、できるだけ機械音を出さない。もちろん、においの強い消毒剤は使わない。狭い産道の中から一気に空中に出るよりは、水中を通ることで自然な減圧効果が得られる。
(2006.05.18 赤枝恒雄 産経新聞)
 水中出産は感染症の危険性が高い。性感染症の感染拡大を過大視する赤枝医師が、出産時の感染症を軽視するのはおかしい。
 産経新聞「子守唄」連載は、赤枝恒雄が理事を務めていた「日本子守唄協会」のタイアップ記事。統一教会の純潔教育を推進する山谷えり子が関連議員連盟の幹事長を務める日本子守唄協会は、統一教会の純潔教育を推進する親学推進協会理事長高橋史朗による親学布教イベントも主催していたカルト団体。

ここからは、赤枝医師の著書のデマ問題と、赤枝医師のデマを引用した他の議員の問題発言です
内容(「BOOK」データベースより)
死を目前にした少女が、心の拠り所の「先生」に宛てた一通の遺書。胸がヒリヒリする、儚く、せつない19年の生涯。初めて本気で人を好きになったとき、自分がエイズ感染していると知った―。援交、親との確執、中絶、エイズ…東京・六本木で開業する医師が見た、少女たちの壮絶な性の実態。
Amazon 赤枝恒雄「悲しいセックス : エイズで逝ったマヤに捧げる」
 赤枝議員の著書『悲しいセックス』は、20歳の誕生日を前にエイズで亡くなった少女からの手紙という設定の本で、実話だと宣伝されていますが、あとがきには、他人から聞いた噂話を1人の少女の話として再構成したものと記載されています(※日本の統計では、10代で死亡した女性HIV感染者・エイズ患者は実在しません)。治療費も保険証や医療費助成制度を利用しないで全額自己負担する(赤枝医師の持論を説明するための)設定で、別の著書では同じ女性が22歳で死んでいるなど話に一貫性がなく、読者に恐怖心や偏見を植え付けるための悪質な作り話としか思えません。
〇三十九番(中嶋義雄君) 知事は、今定例会の所信表明におきまして、エイズ問題に触れられました。
 かつて清水幾太郎氏は、古来からの天譴思想を紹介し、日本人にとって地震は世の混乱を正す天の譴責であったと書いたことがございます。それに倣っていえば、エイズこそまさに天譴であるのかもしれません。
 それはともかく、近年、エイズへの関心が低下しておりますが、知事が指摘するとおり、事態は深刻でございます。献血からエイズ感染が発見される割合は依然として高く、また、先進国の中でエイズ感染者の増加率が上昇している国は日本のみでございます。
 こうした指摘を通して、長年、エイズ問題の深刻さを訴え、ボランティアで無料相談やエイズ検査を行ってきたのが、赤枝六本木診療所の赤枝恒雄医師でございます。マスコミ等でも紹介され、ご存じの方も多いかもしれませんが、昨年、公明党の女性局が同医師を訪問し、私も二十一日の日曜日に訪ねてまいりました。赤枝医師から聞かされたエイズ問題の実態には、身の毛のよだつ思いがいたします。
 同医師によりますと、二十五歳以上のエイズ感染者はほとんどが男性であるのに対し、二十歳から二十四歳までは約六〇%が女性であり、十代ではそれが約七〇%に上るといいます。しかも、十代の女性の感染者の多くは中学生や高校生であり、いわゆる援助交際という名の売春行為でエイズに感染し、親に相談するわけにもいかず、したがって公的な助成等は一切受けられません。
(2003 東京都議会第3回定例会会議録)
 実際には、10代の日本人女性HIV感染者は数年に1人、10代の日本人女性エイズ患者は過去25年間で1人しかいない。つまり日本人の若い世代だけ女性感染者の割合が多い説はまったく根拠がない悪質なデマだが、赤枝医師は著書などで繰り返し同じデマを流布している。
 現実の東京都の実態を示す福祉保健局の資料とかけ離れた赤枝医師の言葉を引用して「エイズは天罰」という趣旨の差別発言につなげた中嶋都議を処分せず議員団長にしている公明党も悪質。

……
▼【2017年国会での問題発言を追記】
赤枝分科員
 それから「コドモのコドモ」という、これは小学生同士が、くっつけっこというのがはやった時期があるんですよ。くっつけっこをやったときに、やはりできちゃった。
 今言ったとおり、日本では合法ですよ、十四歳のセックスは。ところが、外国、八十九カ国は、十四歳の性行為はレイプ事件ですよ。ましてや小学生は。しかし、日本ではそれは認められていて、こういうメディアの番組の悪いのは、そういう、子供たちが性行為をして、結末はみんなハッピーエンドです。最初は親は反対していた、ずっと。おろしなさい。病院まで行った。だけれども、子供は逃げて帰ってきて、嫌だ、産みたい。親も反対していたけれども、産んだ。その後は、おじいちゃんもおばあちゃんも子供を愛してくれて、ハッピーエンド。
 僕は、こういう余り好ましくない行為自体がハッピーエンドで終わっているというのは、子供たちに対する影響も余りよくない。
……
 例えば、児童福祉法違反とかで刑がありますよと言われても、我々がやはり怖いのは、一般の我々パンピーにとってみたら、刑法なんですよ、刑法。
……
 レイプは、どうしてもやはり刑は十年以上は、二十年以上ぐらいの刑にしてもらって、絶対だめな行為だというふうにしてもらわないと、三年とか五年じゃまずいんじゃないんですか。そのところはぜひお願いをしたい。
(2017.02.22 第193回国会 予算委員会第三分科会)
 性行為を怖がらせる教育しか認めない禁欲教育論者の赤枝議員が、まったく別の物語と映画の要約を混同させる語り方で糾弾している「コドモのコドモ」は、青少年同士の出産問題を扱った、性表現のない社会派漫画原作の実写映画。映画が公開された2008年当時に元「世界日報」記者で純潔教育論者の桜井裕子らがチャンネル桜などで誇張した解釈をもとに批判を行っていたため、いまだにデタラメな伝聞情報だけで中傷され続けているらしい。
 刑法では犯罪全般の責任年齢が14歳と定められているので、もし性的同意年齢(13歳)を刑事責任年齢(14歳)より上に変更すると年齢の矛盾が生じ、同年代男女の同意による学生恋愛が、第三者の通報で強姦罪や強制わいせつ罪になってしまう。だから日本では18歳未満に対する成人による性行為のみを児童福祉法や青少年条例などで処罰する法制度になっている。海外の法制度でも青少年の人権に配慮して、同年代の青少年同士の恋愛は同意年齢の例外として処罰しない運用が一般的。赤枝議員の発言は嘘だらけで、しかも青少年同士の恋愛の強姦罪化と強姦罪全般の厳罰化を同時に提案しているため青少年の人権への配慮がなく、宗教原理主義的で悪質。
……


・関連
→ 国連女性差別撤廃委員会による性的同意年齢・結婚可能年齢引き上げ論の問題点
→ ポーランドの「乱交ゲーム」というデマと日本の青少年厳罰論に共通する悪意
→ 赤枝医師の発言の信憑性
→ TVタックルで性感染症自己責任論

2016.03.08 Tuesday

国連女性差別撤廃委員会による性的同意年齢・結婚可能年齢引き上げ論の問題点

 世界でも日本でも、18歳未満同士の恋愛による妊娠・出産・デキ婚は毎年一定数発生しています。これは法律上の性的同意年齢や結婚可能年齢が高い国でも同様で、条文に同年代の恋愛やデキ婚を例外とする規定を付けるなどの配慮が行われています。
婚姻適齢は日本のように男女で異なる年齢を設定している国・地域もあるため、男女それぞれの年齢を対象とした。諸外国では、成人年齢と親の同意なしに婚姻できる年齢を原則一致させ、親の同意や裁判所の許可等の条件を付して例外的に適齢の引下げを認める国が多いが、その場合は、その条件について注記した。
……
現在、我が国の婚姻適齢は、男性18歳、女性16歳である。ただし、未成年者の婚姻は父母の同意を必要とする。
(2008.12 「主要国の各種法定年齢」 国立国会図書館調査及び立法考査局)
高校生が妊娠してしまい、学校のトイレで出産したり、自殺してしまったりというニュースをたまに目にします。こうした問題は当然日本のものだけでなく、さまざまな国で社会問題として議論されています。
イギリス、王立内科医協会のジョン・アシュトン教授は、「結婚年齢を15歳に下げることで、こうした問題を軽減することができるのではないか」と提言しました。首相は到底採用できないと否定しているようですが、新聞やニュースでは広く取り上げられています。
イギリスでは、結婚できる年齢は「16歳」と法律で定められています。しかし、実際にはもっと早くから性交渉を経験するティーンエイジャーも少なくないようです。こうした子供たちは、妊娠や性に関する問題を抱えていても、病院や大人に相談しにくいのが現状です。
(2013.11.30 マイナビウーマン Telegraph

 現行の日本の法令は、刑法の性的同意年齢は13歳ですが、児童売春禁止法や児童福祉法があり、さらに青少年条例により18歳未満への性行為は犯罪とされているので、性的同意年齢が18歳の国と法律運用状況に大きな違いはなく、同年代の恋愛による性行為についてはむしろ欧米より厳罰化される傾向があります。
神奈川県厚木市在住の県立定時制高校4年の男子生徒(19)が、高校2年の女子生徒(17)と自宅で淫らな行為をしたとして、県青少年保護育成条例違反の疑いで県警に逮捕されたことが波紋を呼んでいる。
2人は遊び仲間で深夜に外で食事をした後、男子生徒の自宅に移動し、酒を飲んだりDVDなどを見ていたが、午前4時ごろにムラムラときて、合意の上で性行為に及び、女子生徒が帰宅した後、友達とセックスしたことを話しているのを父親が聞いてしまい激怒、警察に通報、男子生徒だけが逮捕された。
(2012.04.19 livedoorネットリサーチニュース 中山裕)

 もともと他国より学生出産に厳しい日本では、性教育で具体的な避妊方法は教えないのに、妊娠が発覚したら学校を中退させられるような、実質的な中絶強要が横行しているのが現状です。未成年であっても中絶や出産は本人が選択するべき権利で、選択を誘導するような学校や自治体の制度は改善していく必要があります。しかし制度だけでなく、教師による「指導」など周囲の圧力、危険性を誇張したデマ情報による洗脳などで、実質的な中絶強要や出産強要が行われる場合も多く、意識を変えるには時間がかかります。
 もし性的同意年齢と結婚可能年齢を引き上げる法改正を行う場合には、他国のように同年代の恋愛やデキ婚を例外とする規定などを考慮しないと、性交が発覚した生徒を自動的に退学させる学校の増加や、娘と同年代の恋愛相手を強姦・強制わいせつ犯扱いするような虐待親による中絶強要などの暴走にもつながりやすく、日本の青少年の人権をめぐる状況はかえって悪化しそうです。現行の青少年条例の仕組みでは、性的同意年齢と結婚可能年齢は青少年の人権を守るための歯止めにもなっているのです。
中絶実施率は20代、30代で高いのですが、十代の妊娠は、総数が少ないです。20歳未満の妊娠では、約6割が人工中絶に至っているようです。
(2013.08.25 うさうさメモ (未成年の)妊娠・中絶、資料編)
岩手県には岩手県教育委員会の制定する『岩手県立高等学校の管理運営に関する規則』という規則がある。この規則の中には下の通り懲戒処分に関する条項もある。
……
性的暴行という犯罪行為を懲戒処分対象とすることは理解できる。しかし、果たして《妊娠》という事態を《性的暴行》と同列に並べて懲戒処分対象とすることは適切なのだろうか。確かに「内容による」との附則はあるが、それでもやはり違和感はぬぐえない。
(2015.03.12 Here, There 高校生の妊娠は懲戒対象であるべきか)

 国連自由権規約委員会から日本への性交同意年齢引き上げ勧告に続き、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)も、性的同意年齢・結婚可能年齢の引き上げを日本に勧告しているようです。しかし、自民党内で以前から性的同意年齢引き上げを主張してる禁欲系宗教議員は、人権保護ではなく、青少年の恋愛・性行為の厳罰化を目的としています。ですから、自民党が多数の国会で性的同意年齢・結婚可能年齢引き上げが立法されると、同年代の恋愛やデキ婚を例外とする規定などが考慮されないまま、毒親側の視点で法改正されてしまう危険性が大きいのです。
〔自由権規約委員会による最終見解〕 ○平成26年7月(外務省ホームページ上の仮訳)
10.委員会の前回の勧告(注)に沿って,締約国は,第3次男女共同参画基本計画によって策定されたように,職権による強姦及び他の性的暴力の犯罪を訴追し,一日も早く性交同意年齢を引き上げ,強姦罪の構成要件を見直すための具体的行動をとるべきである。
(平成27年10月9日 法制審議会第175回会議 資料「国連の各委員会による 性犯罪の罰則等に関する最終見解」)
女性に対する暴力
22.委員会は、法務省が、(a)男性器の女性器への挿入にのみ適用される強姦罪の狭い定義、(b)性犯罪の低い罰則の引上げ、(c)配偶者強姦を明示的に犯罪化する法的規定の採用、(d)性犯罪の職権による起訴の導入を含む様々な課題に対処するために、刑法を見直す検討会を設置したことに留意する。委員会は、しかしながら、刑法を見直す法務省の検討会が、配偶者強姦を明示的に犯罪化する必要があるとは考えなかったことを懸念する。性交同意年齢が13歳のままであること、法定強姦の法定刑の下限がわずか3年の懲役であることも懸念する。
(2016.03.07 CEDAW 第7回及び第8回報告に対する女子差別撤廃委員会最終見解)
○赤枝委員〔衆議院議員 赤枝恒雄 自民党 比例東京〕
 私は、昔、石原都知事がいるときに、呼ばれたときに、一緒に、中学生のセックス禁止令、それから漫画本の禁止というのをやっていたわけですが、そのころから、法整備ができないものかと思って、ここに、資料二ページ目、性の自己決定権、この性の自己決定権は、別の表現をすると、性的同意年齢とも言われるわけです。
 これは、見ていただければ、日本は十三歳になっているわけです。つまり、十三歳まではセックスしちゃいけないよ、同意の上でもいけないよ、それはレイプだよということです、これは刑法ですから。
……
 そこで、大臣にはきょうはお聞きしないんですが、一応、きょうは法務省の方から来ていただいているので、性の自己決定権を十三歳から十六歳に引き上げるということについてはどうお考えでしょうかという、その辺のまず御感想からお聞かせ願いたいと思います。
(平成26年4月3日 第186回国会 青少年問題に関する特別委員会 第3号)

 現行法で性的同意年齢(13歳)未満同士の恋愛が強姦罪や強制わいせつ罪で摘発されないのは、刑事責任年齢が14歳と規定されているからですが、性的同意年齢が引き上げられると法律上「性的な判断能力はないが刑事責任はある」年齢の矛盾が生じます。
 強姦罪の性的同意年齢引き上げを含む性犯罪の罰則について議論されている法務省「性犯罪の罰則に関する検討会」でも、青少年の人権を守るため同意年齢引き上げに反対する意見が複数の委員から出ていました。ところが自民党側の禁欲系宗教議員はその後も法律上の問題点を無視して青少年の恋愛厳罰化を主張し続けています。
○佐伯委員
「〔性交同意〕年齢を引き上げると性交だけでなくわいせつ行為についても同じように処罰されることになってしまいます。14歳の子供同士でキスをしても強制わいせつ罪で処罰することになってしまうのですが,それは私には過剰な処罰のように思えますし,それを犯罪事実として家裁に送致されることも適当ではないのではないかと考えます。」
(平成27年2月12日 性犯罪の罰則に関する検討会第6回会議 議事録)
なお,「性交同意年齢」という用語に関連して,
○ 国際的に,我が国のいわゆる「性交同意年齢」が低すぎると指摘されるのは,我が国では,13歳以上の者は,自由意思で性交に同意できるとされているかのような誤解があるのではないか。確かに,我が国の刑法においては,13歳未満の者に対する性交等が,暴行・脅迫を用いなくても,強姦罪等と同様に扱われるものとされており,13歳以上については,同意があれば強姦罪等が成立しないことになっている。しかし,我が国では,これ以外にも,児童福祉の観点から,児童福祉法や各都道府県の条例などにより,13歳以上18歳未満の者に対する性的な行為についても,同意の有無に関わらず処罰する規定が置かれており,適用事例も数多くある。このような我が国の法体系全体をみれば,18歳未満の児童についても保護が図られており,前述の国際的な指摘は心外である。このようなことからすると,刑法第177条後段における13歳未満の者についての罪は,「法定強姦」とでも呼ぶべきもので,これを「性交同意年齢」と呼ぶことは適切ではないと思われる。
との意見が複数述べられた。
(平成27年8月6日 法務省 「性犯罪の罰則に関する検討会」取りまとめ報告書)

 以前から国連報告の中には結婚可能年齢の男女同一化要求はあったので、政府も他国の法律日本の世論を調査していたようですが、肝心の「いま日本で学生の交際や妊娠が、青少年条例や校則でどう処罰されているのか」「結婚可能年齢を引き上げると青少年条例や校則にどういう影響が出て、学生の交際や妊娠がどう処罰されるのか」が調査されているようには見えません。たとえば文部科学省の高校中退理由調査では、中退理由の選択肢に妊娠・出産等の項目はありません
委員会は締約国に対し、次回の定期報告において、以下の講じた措置に関する追加的情報を提供するよう、勧告する:
1) 男女共に婚姻適齢を18歳に設定すること
(平成25年9月3日 女子差別撤廃条約 最終見解に対する日本政府コメントに係る追加的情報提供についての委員会の見解)
 乾彰夫・首都大学東京教授の論稿「高校中退調査からみえてきたもの」(2012/9前衛)の備忘録。
……
C翅猴由/「進級できない」が最後の一押しに
 ・「欠席など進級できそうになかった」55%、「校則校風があわなかった」「勉強がわからなかった」「人間関係がうまくいかなかった」50%前後 /多くの理由が重複しながら「進級できない」が決定打と思われる。
 ・「経済的な余裕がなかった」16%、
 ・「妊娠」4%、女性だけだと7%。/妊娠と回答した人は、他の理由との重複がない。
 →「妊娠」はそれ1つだけで中退理由となる /妊娠・出産しても高校を続けられる体制がない。
(2012.09.03 土佐のまつりごと)
妊娠が発覚したりテストを受けることを拒否した場合は、転校、またはホームスタディ・プログラムへと変更し、教室での授業出席は不可となる。
しかし米国市民自由連盟(ACLU)は、教育を受ける権利はすべての市民に認められており、これは性差別であるとともに法律にも違反していると主張、同規則の廃止を求めている。
この学校規則が導入された背景には、10代で出産した母親とそうでない母親との間の教育レベルの差が非常に大きいことにある。ルイジアナ州は米国で6番目に10代での出産が多い。2010年では、18歳未満で母親になった女性が高校を卒業するのはわずか38%だった。
ACLUは70%の10代の母親が高校を中退するが、これは学校側が妊娠した生徒を強制的に追い出していることに原因すると批判。
(2012.08.09 IRORIO 花園維摩 Huff Post

 国連側に日本の状況が想像しにくいのは、日本の宗教議員や禁欲主義団体の青少年政策に欧米宗教と大きな違いがあるのも原因でしょう。欧米のキリスト教原理主義的「中絶禁止・養子拡大」を主張している野田聖子のような宗教議員や、人権団体を自称する禁欲主義系宗教団体の顧問弁護士を務める警察OBが、男女生徒の関係性や人権を無視して、同年代学生同士の恋愛をすべて「性的逸脱行動」と決めつけ、性知識から隔離して性交厳罰化(実質的な中絶強要)する青少年条例の草案に関わっていた日本の状況は、欧米宗教より悪質かもしれません。
 これは唐突な陰謀論ではなく、過去の青少年条例への意見などでも、宗教右派議員たちは条例の趣旨をはきちがえ、青少年同士の恋愛・性行為について(性教育の後退につながる)極端な厳罰化を主張し、性科学の専門家と対立していました。そして、人権団体を自称する禁欲主義系宗教団体の顧問弁護士を務める警察OBが、宗教右派議員による青少年性交厳罰論に同調した青少年条例が、公立学校の妊娠厳罰化(実質的な中絶強要)につながったことは、国連女性差別撤廃委員会に知られていないのでしょう。青少年条例の経緯を知っている人たちなら、性的同意年齢・結婚可能年齢引き上げ論にも安易には同調できない、改正案には要注意だと考えるはずです。
 今は理屈じゃなく、ありとあらゆる手立てを使って、去年より1人でも子どもを増やす努力をしなければいけない。私は、思い切って母体保護法に手をつける、つまり中絶禁止までコミットしてもいいぐらいの気持ちです。
(2010.02.15 自民党・野田聖子衆院議員インタビュー 日経ビジネスオンライン)
青少年を保護する立場から「中学生までは性交をすべきでない」という大人の思いが伝わるよう、条例等に〔中学生のセックスを禁止する〕規定をするべきという意見が〔赤枝医師など〕多数の委員からあった。
これに対して条例等による規制を行うことについては、〔妊娠などの問題を周囲に相談できなくなり〕逆効果であるという〔池上千寿子などの〕意見や、あるいは、一定の理解を示しつつも規定の方法によっては「禁止事項故に〔性教育の授業を省略する口実にされて〕子どもたちに対する性教育が後退する」ということも懸念され、慎重な対応が必要であるという〔岩室紳也医師などの〕意見があった。
(2004 東京都「青少年の性行動について考える委員会」意見のまとめ)
〔※翌年から「東京都青少年の健全な育成に関する条例」に淫行処罰規定が加えられた〕

 国連女性差別撤廃委員会の報告は他の論点でも問題点が多く指摘されていますが、宗教系などの団体が日本の現状を国連に正しく伝えていないのと、日本政府も宗教系議員に都合の悪い統計など現行法の実態を国連に伝えない傾向があることが主な原因のようです。このため、国連女性差別撤廃委員会の目的に反し、報告内容の中から宗教系議員に都合のいい部分だけ政策に悪用され、かえって女性の人権が後退する結果につながっています。もし国連が日本の青少年条例の現状を把握できていれば、性的同意年齢・結婚可能年齢の引き上げを求めるのではなく、非人道的な青少年条例や校則の改善が求められるはずです。
 実在しない人物を描いた表現の規制にばかりこだわり女性作家を蔑視している宗教系団体は、日本の現状を国連に伝える役割を果たしておらず、国連女性差別撤廃委員会の目的を理解しているとは思えません。
第一条
 この条約の適用上、「女子に対する差別」とは、性に基づく区別、排除又は制限であつて、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、女子(婚姻をしているかいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。
(女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約)
女性の権利を保障するという目的が正しいとしても、そのための「性的暴力を描写したビデオや漫画の販売の禁止」という手段は妥当であるとはいえません。
架空の性的暴力を取り締まれば何かを成し遂げた気がするかもしれません。しかし、架空の人権侵害に対処する間にも、実際には実在する女性への人権侵害が放置されるままとなります。
そして、日本の漫画というメディアが、性的搾取を主題にする作品が存在し得る程の多様な表現ができる創作分野として発展できたのは、漫画の表現に「清濁併せ呑む」一面があったからです。人間と人間の生き死にする世界を清濁が入り交じっているととらえ、それを率直に表現する自由があったからです。
漫画の創作に関わる分野は、日本人女性が自らの努力により切り拓いてきた活躍の場です。こうした場を荒廃させられぬよう守り、次の世代へ受け継いでいけるよう努力することこそが女性の権利を守ることにつながると、私どもは考えております。
(2016.02.28 女子現代メディア文化研究会 〜国連女子差別撤廃委員会、「日本における女性の権利」保障〜 議題「性的暴力を描写したビデオや漫画の販売の禁止」についての意見書)
〔漫画研究者の藤本由香里・明治大学教授〕
「日本では女性が主体となった性表現が、男性向けのそれと同じくらい発展していることが、他国とは大きく違う特徴だ。その中には当然、『性暴力』表現も含まれる。即ち、日本において『性暴力』表現を禁止することは、これまで営々と築かれてきた女性たちによるオールタナティブな性表現に対してもNOを突きつけることになるのだ。表現を『禁止』することによっては現実は変わらない。むしろ『性は危険でもありうる』ことを伝えることこそが現実を変えると信じて女性作家たちは表現してきた。その営為を止めてはならない。国連は、表現を問題にすれば、『現実の問題を解決する』ことをかえって阻害することを認識すべきだ」
(2016.03.16 BBC「国連が批判する日本の漫画の性表現 「風と木の詩」が扉を開けた」)


・関連
→ 赤枝恒雄議員は以前から問題発言の多い自己責任論者(過去発言まとめ)
→ ポーランドの「乱交ゲーム」というデマと日本の青少年厳罰論に共通する悪意
→ 野田聖子が中絶禁止と養子縁組制度拡大を主張
→ 赤枝医師の発言の信憑性
→ TVタックルで性感染症自己責任論
→ 青少年のセックスは法律で禁止しても減らない
→ 青少年セックス禁止条例にはまったく抑止効果がない

2011.06.19 Sunday

法輪功が捏造した「陰性エイズ」デマを夕刊フジが拡散

 病気ではないのに自分は重病だと思い込んで症状を訴え続ける心気症は、昔から世界中によくある心の病気(身体表現性障害)のひとつです。HIV検査を受けて感染してないことがわかっても「自分は感染してる」と思い込み続ける、いわゆるエイズノイローゼも心気症にあてはまることが多いようです。
 医者に病気ではないと診断されたのに「現代医学でもわからない奇病」などと思い込んでしまう場合は、心療内科・精神科で適切な診療を受け不安を取り除くべきなのですが、インチキ宗教やニセ医療のカモにされてしまう人もいるようです。
 医療や進化論を否定するカルト宗教団体「法輪功」の広報紙である「大紀元」が、数年前から「中国でエイズによく似た奇病」というデタラメな噂を広めていることはネットで話題になっていました。この噂については中国衛生省も自称患者たちの調査を行い「心理的な要因だ」という調査結果を今年の4月に発表しました。しかし、法輪功系メディアの大紀元や新唐人電視台はその報道を「未知のウイルス」「陰性エイズ」というデマにすりかえ、そのデマをなぜかチャンネル桜夕刊フジが日本で拡散しているようです。
 「夕刊フジが取材した」という2人の自称感染者の証言はまさに心の病気を疑われる内容で、奇病とは思えません。Aさんは「大学病院や総合病院、泌尿器科や性病科など30件ほど回ったが、原因は不明。心療内科にも行ったが『問題なし』」と証言していますが、たいした症状もないのに奇病だと思い込み仕事を辞めて異様な数の病院をまわってる人が心の病気を疑われないのは不自然です。この夕刊フジの取材ネタはチャンネル桜に出演してる坂東忠信という人のブログの5月の記事と酷似しているのですが、ブログ記事には「未知のウイルス」の元ネタが「大紀元」だということも明記されてます。さらにブログ記事ではこの自称感染者のできものはひどい症状ではなく「心療内科も3軒回った」とか「薬は効かないが健康食品が効く」と主張していることも書かれていますが、特定の健康食品だけが症状を軽減させるなんて宣伝する自称感染者たちの話は、半信半疑の読者もさすがにガセネタだと気付くでしょう。
 つまり夕刊フジの記者は「陰性エイズ」がどうしようもないガセネタだとわかってるはずなのに、元記事のヘタな嘘をごまかしたうえで、わざと「コンドームで防御できず?」なんて見出しで煽っているのです。
夕刊フジ2011年6月19日 中国を中心に、エイズに似た症状を訴えながら、検査では「陰性」と判定される患者が相次ぎ、「陰滋病」(陰性エイズ)として話題になっている。中国衛生省は「心理的な要因だ」としているが、新型肺炎SARSに立ち向かった中国の著名医師も研究を始めた。
(2011.06.18 夕刊フジ)
何百人という中国人が、自分がHIVに似た症状の新型疾患にかかったかもしれないと思う一方で、医師は、彼らの病気は身体的なものというより、むしろある精神的病状の結果ではないかと考えています。
(中国に広がる「HIV恐怖症」 BBCニュース 上海 クリス・ホッグ)
上記の症状一覧を見ての私の最初の印象は「あまりエイズに似ていない」。いわゆるエイズ(後天性免疫不全症候群)は、通常、HIVに感染してから数年間経ってから起こるため、「初期症状が主に性行為の後に出る」という点で決定的に異なる。強いて言えば、HIV感染後の急性期に起こる「HIV初感染症候群」に似てなくもない。HIV初感染症候群の臨床症状は伝染性単核球症に似ているとされている。伝染性単核球症の典型的な症状は発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹である。通常の風邪と区別がつかないこともあるとされる。要するに、HIV感染だけに見られる急性期の特別な症状はない。何より、急性期の症状は、数日から数週間で治癒するのがほとんどである。感染を心配している日本人のブログによれば、少なくとも数ヶ月は症状が持続している。自然治癒する疾患であれば、怪病として恐れられたりしないだろう。
未知のウイルスによるものという可能性はどうだろうか。SARS(重症急性呼吸器症候群)流行のときに、中国政府の対応は、WHOへの報告が遅れるなどの問題点があった。今回の件でも、中国政府が情報を隠蔽しているかもしれないという懸念が、「注意喚起」を目的とした情報拡散の一因になっているようである。しかし、上記引用している記事の日付は2009年6月である。ほぼ1年前である。もし、「感染経路も極めて多様で、そのスピードの速さには広範囲の感染被害が憂慮される」ような未知のウイルスが存在するならば、1年間近くもWHOなどの公的機関が気付かないなんてことがありうるだろうか? WHOには、中国政府の情報隠蔽に協力する動機はない。唾液や汗などでも感染するような「感染力の強い未知のウイルス」が事実だとしたら、何らかの陰謀論でも持ち出さない限り説明できない。
(2010.05.24 エイズに似た怪病が中国で急速に拡散しているという話はたぶんガセ - NATROMの日記)
心気症は、身体症状または身体機能に対して重病にかかっているのではないかという恐怖や考えにとらわれてしまう障害で、内科や外科を受診し適切な医学的評価や説明を受けても、現代医学でもわからない奇病にかかっているなどといった考えが持続します。規則的な身体的診察が日常生活の障害を防ぐために有用です。
(主な疾患と症状 外苑メンタルクリニック)
Q95 エイズノイローゼとは何か
A HIVに感染したのではないかという不安に始終つきまとわれて、HIV抗体検査結果が陰性であっても、その不安が解消されない人の場合や検査結果が陽性になるのではないかと心配するあまり検査を受けずに悶々とし精神的に大変不安定になる人の場合等をさす。
 前者の場合には、性格的に神経症タイプの人がなる場合や強迫神経症等の神経症の場合、心因反応や精神分裂症のエイズ妄想の場合等が考えられる。これらの場合には、神経科や精神科等での専門的治療を要することが多い。
 後者の場合は、心配性の人がなることが多く、検査を受けて不安を解消するよう時間をかけてくり返し勧めることが望まれる。
(厚生労働省 エイズ相談マニュアル)

 おかしなデマが中国で広まるのは、中国政府の感染症政策と情報隠蔽体質への不信感があるからだとしても、日本のメディアまでこんなデマ拡散に加担しているのは残念です。
 法輪功は2008年にも「中国でエイズスイカ」という差別的なデマを拡散したことで知られています。現実にはもしHIV感染者の血液を注射した食べ物を出荷しても、食べた人がHIV感染する可能性はありません。このデマに類似したバカ設定の、HIV感染者の血液を牛乳に入れて飲ませるという日本の小説「告白」も、読者の誤解を招く描写だと批判されていました。
HIVの感染は、通常血液同士の接触か、性交渉以外では成立しません。勿論ウイルスを多量に含む血液を大量に飲めば、口の粘膜からウイルスが侵入する可能性はありますが、牛乳に混入した程度では感染成立の可能性は、殆ど存在しないでしょう。お母さんの母乳からお子さんに感染した事例はあるのですが、それは量が大量であることと、赤ちゃんの胃腸の免疫機能が、まだ未熟であるためと考えられます。
おまけにこのパートナーは、HIV感染症の治療中なのです。治療中の血液には、もうウイルスは殆どない筈です。従って、感染する可能性も更に低下するのです。
ここまで読んで頂ければ、この方法が実現可能性は殆どないのに、「HIV患者の血液は毒である」という、嫌な気分だけを残し、ある種の誤った病気への感覚を、助長する役割しか果たさないということが、お分かり頂けるのではないか、と思います。
(2009.04.23 「告白」の嘘(ネタばれ注意):六号通り診療所所長のブログ)
 中国当局の統計では、人口13億の中国で、少なくとも74万人のHIV感染者やエイズ患者が存在するが、実際は当局の数字より、さらに多いとみられる。
 こうした人びとは、長い間、偏見や差別にさらされてきた。だが、最近では政府が公にHIV感染の予防を呼びかけていることもあり、HIV感染者らを取り巻く状況は改善しつつある。
 しかし、ILOが18日に発表した報告書によると、中国の医療機関におけるHIV感染者差別はなくなっていない。その主要因は2つある。
 多くの総合病院では、HIV陽性者というだけで患者を自動的に感染症専門の病院に押し付けている。だが、専門医療機関が受け入れるのは、HIV/AIDS治療が目的の患者のみで、HIV/AIDSと直接の関係がない症状の治療は行っていない。
 さらに、中国の病院の多くは利益を優先するため、病院の経営者らが、HIV感染者を治療すれば、これを知った人びとが具合が悪くなった時に他の病院に行ってしまうと恐れていると、報告書は指摘している。
(2011.05.18 中国の病院で門前払いのHIV/AIDS患者たち、ILO報告書 AFPBB News)

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