2007.05.03 Thursday

性道徳だけ教えても性感染症予防にはならない

アメリカのキリスト教原理主義者たちは法律で中絶を全面禁止にしようとしている。
米議会が先週、中絶の一部を禁止する法案を賛成多数で通過させたのに続き、ブッシュ大統領も二十八日の記者会見で法案に署名すると明言した。しかし、女性団体などは強く反発、法廷に持ち込む方針だ。この法案は個人の権利として中絶を認めてきた政策を三十年ぶりに大きく転換する重要なテーマ。
(2003.10.30 西日本新聞)

サウスダコタ州ではすでに、レイプ被害者でも中絶全面禁止とする州法が2006年に成立した。
 人工妊娠中絶を合法と判断した1973年の連邦最高裁判決に反しているが、ブッシュ大統領指名の保守派ジョン・ロバーツ氏が長官に就任するなど連邦最高裁の保守化も進行。知事は「73年の判断を覆すことは可能だ」と述べた。
(2006.03.07 共同通信)

キリスト教原理主義者が多数派の国アメリカでは、公立学校で牧師が生徒に「性器に触れるだけで妊娠する」「HIVは涙や汗を媒介に感染する」など誤った性知識を教えている。
ブッシュ政権は、絶対禁欲主義の性教育プログラムを採用する団体に1億7000万ドル(約172億円)の予算をつけている。絶対禁欲主義の性教育プログラムは1999年に始まり、その数は100以上、数百万人の9〜18歳の青少年が参加している。
(2004.12.03 ロイター/ワシントンポスト)
指導員が少しでも生徒に避妊の仕方を教えると政府の助成金は打ち切られる。
(町山智浩アメリカ日記:避妊も禁止の性教育)

この禁欲教育はまるで効果がなく、純潔を誓った若者の性感染症罹患率は誓約しなかった若者と比べて差がなかった。
「純潔の誓い」を立てた2万人以上の若者を面接調査した結果、誓いを破った者は、88%に達していたという。
(2005.10 CBSドキュメント)
コンドームの有効性や使用法などについて教えられていないこと、性器を結合するという点においては禁欲を守るものの、口腔性交や肛門性交などに向かい、結果として性感染症を広げてしまった危険性があります。
(2005.05.06 毎日新聞)

オハイオ州の高校では、女子490人のうち約13%にあたる64人が妊娠していた。
「多くの生徒が性体験を持っているけど、避妊の知識はあまり持っていない」
(2005.09.05 AP通信/ライブドア・ニュース)

この問題はアメリカ国内だけにとどまらない。ウガンダではエイズ予防対策が成功しているといわれていたが、アメリカの宗教団体による反コンドーム宣伝が行われたことで事態が悪化。2004年にはアメリカの圧力によってコンドームの無料配布が中止され、ウガンダ国内のコンドーム価格は税率引き上げにより最大500%上昇した。
禁欲のみを重視するアメリカのエイズ政策はコンドームの役割を軽視し、アフリカにおけるエイズとの闘いの妨げになっている。
(国連事務総長HIV/AIDS特別代表スティーブン・ルイス)
アメリカやカトリック系の国はコンドームに開発援助が使われることをきらう。こうした愚かなキリスト教道徳のおかげで、毎年何十億ドルもの援助が浪費されている。
(“The White Man's Burden” William Russell Easterly)

性教育を性道徳教育にすりかえる動きは日本にもある。性感染症罹患率や青少年の性交渉体験率が他県より高い茨城県では、県立高校で道徳教育を全国で初めて導入することで、性感染症対策を性道徳教育にすりかえようとしている。
県では19年度から県立高校で道徳教育を全国で初めて導入することもあり、県教育庁学校保健担当は「性を語る上で、望ましい男女間、人と人とのつながりは欠かせない。性感染症を避けるためにも、青少年の性交渉は抑制していく方向で指導していきたい」と話している。
(2007.03.25 産経新聞)

2007.04.19 Thursday

HIV検査はこわくない

世界的にはエイズ治療薬は高額と思われていますが、日本ではHIV感染者は障害者自立支援法などにより収入に応じて医療費の補助を受けられるようになっているので、確実に治療を受けられます。
(エイズ予防情報ネット:抗HIV治療ガイドライン)

よく「HIV検査を受けるのがこわい」という人がいますが、早期治療に成功すれば日常生活には支障がなく仕事も普通に続けられます。セックスと経腟分娩と授乳ができなくなるだけと考えれば、生活にはあまり支障はありません。

日本で一般にHIV感染が拡大している最大の理由は、検査を受ける人が少ないことと、コンドームを使わずに生でセックスする人が増えたこと、それによって性感染症の感染者が増えていることです。エイズウイルスだけでは感染力が弱いのですが、他の感染症にかかっていると感染する可能性が高くなるのです。
(減少するコンドーム出荷数と増加するHIV・STD感染者数の推移)

2007.04.10 Tuesday

日本の新規HIV感染者、女性の半数は妊婦

2005年の日本の新規HIV感染者は832人、新規エイズ感染者は367人。
つまり日本の新規HIV感染者は1日に2人、新規エイズ感染者は1日に1人。
(エイズ動向委員会報告)

女性の新規HIV感染者は63人だが、この半数以上の34人は妊婦だった。
(エイズ予防情報ネット:HIV母子感染予防対策マニュアル)

国内産婦人科での妊婦HIV検査実施率はは94.7%。これは母子感染を防ぐために行われている。もし母親のHIV感染を知らずに出産した場合は約30%の確率で母子感染が起こるが、予防対策を万全にすれば母子感染の確率を1%以下にできる。

女性感染者の半数以上が妊婦なのは、妊娠するまでHIV検査をしたことがない女性が多いからだ。出産を前提に特定の人とだけセックスしている人にも感染は広がっている。
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